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クリニック開業・経営コラム

生活習慣病管理料と充実管理加算をどう考える?|2026年改定を外来設計として整理する

更新日:2026年5月27日

※本記事は2026年6月施行予定の制度内容、および2026年5月8日公表の疑義解釈資料(その5)までの内容をもとに整理しています。今後、追加の疑義解釈や事務連絡等が公表された場合は、内容を更新する可能性があります。

2026年診療報酬改定では、生活習慣病管理料の見直しにあわせて、従来の外来データ提出加算が見直され、充実管理加算(30点・20点・10点)という段階評価が設けられました。

検索では、「充実管理加算の算定要件」「充実管理加算1・2・3の違い」「届出様式」「経過措置」「実績値」などが気になりやすいところです。

ただ、実際に院長が迷いやすいのは、点数や届出だけではありません。

生活習慣病管理料(Ⅰ)・(Ⅱ)をどう使い分けるか、検査や療養計画書をどう回すか、充実管理加算をどこまで追うか。

今回の改定は、生活習慣病外来をどう設計し、どう運営していくかを問い直す改定として受け止めると整理しやすいと思います。

生活習慣病管理料(Ⅰ)・(Ⅱ)はどう見直されたのか

生活習慣病管理料は、今回の改定でも、検査や注射などを包括評価する生活習慣病管理料(Ⅰ)と、検査等を出来高算定とする生活習慣病管理料(Ⅱ)の2区分が維持されています。

大枠としては、高血圧症・糖尿病・脂質異常症に対する継続的な疾病管理を評価する制度です。

今回の見直しでは、生活習慣病管理料(Ⅰ)について、原則として必要な血液検査等を少なくとも6か月に1回以上行うことが要件として示されました。

また、療養計画書については、患者署名が不要となり、外来の運用負担を軽減する方向も示されています。

生活習慣病管理料の見直しは、「厳しくなった」だけではなく、「続けやすくする工夫」も同時に入っていると見ることができます。

一方で、説明そのものが不要になるわけではありません。

署名が不要になった分、療養計画書を用いた説明や、患者の同意を得た旨の診療録への記録は、引き続き重要です。

つまり、今回の見直しは、単なる書類対応ではなく、生活習慣病外来の検査・説明・記録の流れをどう整えるかという運用の話でもあります。

充実管理加算とは何か|1・2・3の違い

今回の改定で新設された充実管理加算は、従来の外来データ提出加算の見直しとして位置づけられています。

充実管理加算は、生活習慣病管理料に上乗せされる評価で、段階は次のように整理されています。

  • 充実管理加算1:30点
  • 充実管理加算2:20点
  • 充実管理加算3:10点

ここで重要なのは、単に「届出をしたか」だけではなく、生活習慣病管理に関する実績が評価される方向に寄っていることです。

これから新たにデータ提出を始める医療機関では、実績が評価されるまでの一定期間は、原則として充実管理加算3(10点)からのスタートになります。

すでにデータ提出を行っていた医療機関と、新たに取り組み始める医療機関では、初期の点数設計が異なる点に注意が必要です。

充実管理加算は、提出よりも実績を見る評価に近づいている

充実管理加算で見られるのは、生活習慣病に関連するガイドライン等に沿った診療を行い、その実績を持っているかという点です。

評価指標としては、各疾患ごとの継続受診の割合に加え、糖尿病であればHbA1c、脂質異常症であれば中性脂肪やLDLコレステロールなどの検査実施割合、糖尿病患者の眼科・歯科連携の実績などが示されています。

つまり、体制や提出の有無だけでなく、実際にどんな管理をしているかを見ようとしているように見えます。

また、充実管理加算1・2は、単に一定の絶対基準を満たせば付くというより、届出を行う医療機関全体の中での相対評価として理解した方がよさそうです。

疾患ごとの実績が見られるため、糖尿病では流れが整っていても、高血圧症や脂質異常症では別の課題がある、ということも起こり得ます。

さらに、評価の前提として、集計期間中にその疾患を主病として生活習慣病管理を行った患者数が一定数以上、具体的には各疾患10人以上であることも重要です。

充実管理加算は、単に点数を取りに行く制度というより、生活習慣病外来がどの程度継続管理できているかを見られる制度として受け止めた方が整理しやすいと思います。

経過措置と届出で確認しておきたいこと

充実管理加算では、経過措置や届出の扱いも実務上の確認ポイントになります。

令和8年3月31日時点で外来データ提出加算の届出を行っている医療機関には、充実管理加算1の実績要件を満たすものとする経過措置が設けられています。

また、疑義解釈資料では、3月31日時点で実際に外来データ提出加算を算定していなくても、4月1日から算定できるよう試行データが適切に提出されているものとして厚生労働省保険局医療課から通知を受けたうえで、令和8年3月31日までに様式7の11の届出を行い、地方厚生局への手続きを終えていれば要件を満たすという取扱いも示されています。

届出実務に関わる場合は、次の点を確認しておきたいところです。

  • 外来データ提出加算の届出状況
  • 試行データ提出に関する通知の有無
  • 様式7の11の届出手続き
  • 充実管理加算3からのスタートになるかどうか
  • 疾患ごとの患者数と実績値の確認

ただし、ここで必要なのは、焦って上位評価だけを追うことではありません。

まずは、自院の外来フローが、検査・継続受診・連携を無理なく支えられる形になっているかを確認することが大切です。

糖尿病患者の眼科・歯科連携が評価される意味

今回の改定では、糖尿病患者について、眼科または歯科を標榜する他の医療機関との連携を行う場合の評価が新設されています。

眼科医療機関連携強化加算、歯科医療機関連携強化加算が年1回60点で設けられています。

これは、糖尿病を内科単独で抱え込むのではなく、地域の中で合併症予防まで含めて支える方向を示しているように感じます。

一方で、この加算は、受付で「眼科にも行ってくださいね」「歯科にも行ってくださいね」と案内するだけの話ではありません。

診療に基づき、合併症等の予防・診断・治療を目的として眼科または歯科診療の必要性を認め、患者の同意を得たうえで必要な連携を行うことが前提になります。

疑義解釈では、眼科・歯科連携加算について、紹介先の医療機関へ情報提供を行った際の診療情報提供料(Ⅰ)と併せて算定できることも示されています。

つまり、眼科・歯科連携を自然に案内できる外来フローを整えることは、年1回60点の話だけではなく、医師の判断、患者説明、紹介・情報提供の流れをどう設計するかという話にもつながっています。

点数を取るかより、どう運営するか

生活習慣病管理料や充実管理加算は、点数だけを見て判断すると、現場に負担が偏ることがあります。

仮に上位の加算を取れたとしても、院長が疲弊し、スタッフが制度対応だけに追われ、本来大切にしたい診療が削られているのであれば、それは本当に続けやすい外来とは言いにくいかもしれません。

逆に、点数は高くなくても、継続管理が自然に回り、患者との関係が安定し、必要な検査や連携が無理なく行われている外来であれば、それは別の意味で質が高いと言える可能性があります。

ここで迷いやすいのは、「どの加算を目指すか」よりも「自院の外来をどう設計するか」です。

検査の回し方、継続受診率の支え方、眼科・歯科連携を案内するタイミングは、クリニックごとに判断が分かれます。

制度は変わります。けれど、外来の設計思想は、そう簡単に変えるものではありません。

だからこそ、次のような点を一度整理しておくことが大切です。

  • 生活習慣病管理料(Ⅰ)と(Ⅱ)の患者像をどう分けるか
  • 6か月検査の漏れを誰がどこで確認するか
  • 療養計画書の作成・説明・カルテ記載の流れをどう簡素化するか
  • 糖尿病患者への眼科・歯科連携をどのタイミングで行うか
  • 継続受診率や検査率を、院内でどこまで見える化するか

まとめ|制度対応を外来設計として考える

2026年改定では、生活習慣病管理料と充実管理加算を通じて、生活習慣病外来の運用があらためて問われています。

  • 生活習慣病管理料(Ⅰ)・(Ⅱ)は、包括か出来高かだけでなく、患者像と外来運用を踏まえて考える必要がある
  • 生活習慣病管理料(Ⅰ)では、必要な血液検査等を少なくとも6か月に1回以上行う要件が示された
  • 療養計画書は患者署名が不要となり、運用の簡素化が進められた
  • 充実管理加算は、提出だけでなく実績を見る評価に近づいている
  • 新規にデータ提出を始める場合は、充実管理加算3からのスタートになる点に注意が必要である
  • 経過措置や届出状況は、自院の状態に応じて確認が必要である
  • 糖尿病患者の眼科・歯科連携は、単なる案内ではなく、紹介・情報提供の流れとして設計する必要がある

大切なのは、制度の正解を探すことだけではありません。

自院としてどこまで対応し、どう運営するか。

その問いの方が、長く続く生活習慣病外来につながるように思います。

制度対応を、自院の外来運用として整理したい院長へ

生活習慣病管理料・充実管理加算を、どこまで対応するか整理したいときに

生活習慣病管理料や充実管理加算のような制度改定では、要件の確認だけでなく、どこまで制度に合わせるか、何を優先するか、院内でどう回すかの整理が必要になることがあります。

まえやまだ純商店では、実務代行や申請代行ではなく、院長ご自身が判断するための前提を整理する支援を行っています。

いきなり申し込みではなく、まず内容や考え方を確認していただけます。

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