なぜ開業医は経営で迷いやすいのか | 医師が「正解」を探しやすい理由
開業医の先生と話をしていると、よくこんな言葉を聞きます。
「何が正解なのか分からない」
「成功しているクリニックのやり方を知りたい」
「失敗しない方法を教えてほしい」
私は医療従事者ではありません。
これまでクリニックの立ち上げや経営の相談に関わる中で、多くの院長先生と話をしてきました。
その中で感じるのは、開業医はとても優秀なのに、経営になると迷いやすいということです。
その理由を整理してみたいと思い、この記事を書いています。
もちろん、院長先生が経営を理解していないわけではありません。
むしろ勉強熱心な方が多く、セミナーや書籍、さまざまな情報を集めている先生も少なくありません。
それでも、どこかで立ち止まってしまう院長先生が多いのも事実です。
そこには、医師という仕事や、開業医という立場ならではの背景があるように感じています。
医師は「正解を探す世界」で仕事をしている
医療の世界では、診療の判断に一定の根拠があります。
例えば、
- この症状ならこの検査
- この診断ならこの治療
- この数値ならこの薬
というように、ガイドラインやエビデンスをもとに判断が行われます。
もちろん医療に絶対的な正解があるわけではありません。
それでも、より適切な選択を探すことが求められる世界です。
つまり医師は、長い時間をかけて「正解に近い答えを探す訓練」を受けてきています。
そのため経営の場面でも、
- 正解を知りたい
- 成功している方法を知りたい
- 失敗しないやり方を知りたい
という思考になりやすいように感じます。
これは決して悪いことではなく、むしろ医師としてはとても自然な思考です。
医療の世界は「相談しにくい構造」でもある
もう一つ、私がクリニックの立ち上げや経営に関わる中で感じていることがあります。
それは、医療の世界は相談しにくい構造を持っているということです。
医療の現場では基本的に、
- 医師が判断する
- 医師が責任を持つ
という構造があります。
そして開業すると、院長=最終責任者になります。
その結果、
- 弱みを見せにくい
- 迷いを言いにくい
- 外部に相談しにくい
という状態になりやすいように感じます。
実際、開業医の相談先は
- 家族
- 同級生の医師
- 医師会
など、限られた範囲にとどまることが少なくありません。
ただし、実際には多くの院長が迷っている
一方で、クリニックの現場に関わる中でよく感じるのは、院長先生は実はかなり迷っているということです。
例えば、
- スタッフの問題
- 患者数の不安
- 診療の方向性
- 経営判断
などです。
ただし、ここで難しいのは相談の仕方が分からないという点です。
何を聞けばいいのか。
何が問題なのか。
どこまで話していいのか。
これらが整理されていないまま、時間だけが過ぎてしまうことがあります。
その結果「答えをくれる人」を探しやすくなる
こうした背景があるため、私が院長先生と話をしていても、「答えをくれる人」を探しているように感じることがあります。
例えば、
- コンサルタント
- 成功している医師
- 医療系YouTube
- セミナー
などです。
そこでは「この方法をやればうまくいく」という答えが求められることが多くなります。
つまり、相談ではなく処方箋です。
しかしクリニック経営は、処方箋のように一つの答えで解決できるものではありません。
経営の問題は「答え」ではなく「論点」で起きる
私が院長先生の相談を受けるとき、 「答えが分からない」というより、何が問題なのかが整理されていない状態になっていることが多くあります。
患者数の問題だと思っていたことが、実は診療の方向性の問題だったり、 スタッフの問題だと思っていたことが、役割分担の問題だったりします。
経営では、答えを探す前に、 何について考えるべきなのか(論点)を整理することが必要になることがあります。
クリニック経営には「正解」がない
私がこれまでクリニックの立ち上げや経営に関わる中で、感じていることがあります。
それは、クリニック経営には一つの正解がないということです。
なぜなら、
- 地域
- 診療内容
- 患者層
- スタッフ体制
- 院長の価値観
によって、経営の形は大きく変わるからです。
ある地域でうまくいった方法が、別の地域でも同じようにうまくいくとは限りません。
同じ診療科でも、院長の考え方によってクリニックの姿は大きく変わります。
この点については、こちらの記事でも整理しています。
クリニック経営に正解はある?|院長ごとの「納得解」で考える経営判断
だから必要なのは「正解」ではなく「整理」
私が院長先生の相談を受けるときも、多くの場合、まず必要になるのは「正解」よりも「整理」です。
経営の問題は、答えが見つからないことよりも、何が問題なのかが整理されていないことから生まれることが多いからです。
いま何が問題なのか。
どの論点が重なっているのか。
何を優先するのか。
それらを整理していくことで、院長自身が納得できる判断が見えてくることがあります。
私が関わるときも、基本的にはこの整理です。
答えを提示するというより、院長先生の考えや状況を整理しながら、経営判断の軸を見つけていく。
そんな関わり方になります。
この考え方が合いやすい院長
私の経験では、この考え方はすべての院長先生に合うわけではありません。
ただ、次のような院長先生には合いやすいように感じます。
合いやすい院長
- 他院の成功例をそのまま真似することに違和感がある
- 経営に正解がないことを感じ始めている
- 自分の考えを整理したい
- 答えをもらうより、一緒に考えたい
合いにくい院長
- すぐに答えや結論だけ知りたい
- 成功している方法をそのまま知りたい
- 第三者に判断を委ねたい
これは良い悪いではなく、求めている支援の違いだと思います。
正解ではなく「納得できる判断」を
クリニック経営では、院長先生が判断を引き受ける場面が何度も訪れます。
そのとき、「正解は何か」を探し続けると、かえって迷いが深くなることがあります。
大切なのは、院長自身が納得できる判断です。
経営に迷うことは、決して特別なことではありません。
多くの院長先生が同じように悩みながら、自分なりの経営の形を見つけていきます。
その判断にたどり着くために、一度立ち止まり、考えを整理する時間が必要になることがあります。
その整理の時間をつくることが、私の仕事の一つです。
私が大切にしている「答えを押しつけない伴走」の考え方については、 伴走支援の考え方 にまとめています。
実際の進め方や、入口から継続までの流れについては、 開業・経営整理セッション のページにまとめています。
クリニック経営で迷いが重なってきた院長へ
状況を整理して、次の一手を考える伴走を行っています
患者数、スタッフ、制度対応、役割分担。
クリニック経営では、どれも大事だと分かっていても、何から整理すればよいか分からなくなることがあります。
まえやまだ純商店では、そうした経営の迷いを整理し、院長が自院としての優先順位と次の一手を考えるための伴走を行っています。
実際の相談内容を知りたい方へ
クリニック経営では、患者数・採用・制度対応など、複数の論点が重なって判断が難しくなることがあります。
院長と整理してきた実際の相談事例もまとめています。
こんな状況の院長から、ご相談をいただくことが多いです
- 患者数や売上の不安があるが、何から見直すべきか分からない
- 採用・定着・制度対応など、複数の論点が重なっている
- 専門家の意見は聞いたが、最後の優先順位だけが決めきれない
- 院長が抱え込み気味で、任せ方・外注・段取りを整理したい
まずは事前ミーティング(15分・無料)で、いまの状況を伺い、この整理の進め方が合いそうかを確認します。
※売り込みは行いません。合わないと感じた場合は、その時点で終了で構いません。
※相談内容が整理されていなくても問題ありません。