クリニックの採用が決まらないとき、院長は何を見直すべきか|院長の経営相談Q&A
クリニックの採用がなかなか決まらないとき、院長の頭の中は「条件が悪いのか」「給料を上げるべきか」「場所が悪いのか」と、原因探しに向かいがちです。
ただ、採用は1つの原因だけで決まるものではありません。まずは状況を整理しながら、何を見直すべきかを考えていくことが大切になります。
想定される院長の状況
クリニックの採用がなかなか決まらないとき、多くの院長が次のような状況に直面します。
- 求人を出しているが応募が来ない
- 面接まで進まない
- 面接しても辞退される
- 採用しても続かない
その結果、院長の頭の中では原因探しが始まることが少なくありません。しかし実際には、採用は複数の要素の組み合わせで決まります。
クリニックの採用が決まらないとき、院長が最初に考えてしまうこと
採用がうまくいかないとき、多くの院長が最初に考えるのは次のような「単一の原因」です。
- 給料が低いのではないか
- 求人媒体が悪いのではないか
- 立地が悪いのではないか
もちろん条件も重要です。ただ採用は、診療内容・診療時間・スタッフ体制・医院の雰囲気・地域の人材状況など、複数の要素が絡みます。
そのため「何が悪いのか」を1つに決めるより、まずは状況全体を整理することが重要になります。
クリニックの採用が決まらないとき整理したい4つの視点
採用がうまくいかないときは、次の視点を整理すると状況が見えてくることがあります。
① 地域の人材状況
人口規模、近隣医療機関の状況、看護師・医療事務の供給など、地域によって採用の難易度は大きく変わります。採用が難しい場合でも、院長個人の問題ではないケースも少なくありません。
② 診療内容と業務内容
求職者は、どんな患者層なのか、忙しさはどの程度か、業務内容はどこまでか、といった「実際の働き方」を見ています。
たとえば外来数が多い、診療時間が長い、業務範囲が広い場合、応募のハードルが上がることがあります。
求人票が「医院側の視点だけ」になっていないか
採用がうまくいかないときは、募集要項・求人票の書き方を見直すことも1つの視点になります。
クリニックの求人票は「医院が求める条件」を中心に書かれがちです。一方で求職者が知りたいのは、1日の流れ、患者数や忙しさ、業務範囲、スタッフ体制などの具体情報です。
また「働きやすい職場」「アットホームな環境」など抽象的な表現だけだと、求職者は働くイメージを持ちにくいことがあります。求人票が求職者の視点で十分に具体化されているかを、一度整理してみるのも有効です。
③ 勤務条件
勤務条件は給与だけではありません。勤務時間、休日、人員体制なども応募の判断材料になります。最近はワークライフバランスを重視する求職者も増えています。
④ 医院の役割
医院としてどのような役割を担うのか(地域のかかりつけ医/専門外来/少人数で回す体制 など)によって、必要なスタッフ像も変わります。医院の役割が整理されていないと、採用が噛み合いにくくなることがあります。
採用が決まらないことは珍しいことではない
現在、医療業界では人材不足が続いています。
厚生労働省の職業情報提供サイト(job tag)では、職種ごとの賃金や求人倍率などのデータが公開されています。状況把握の参考として確認してみるのも一つです。
こうしたデータからも、医療・看護分野では求人倍率が高い職種があり、地域によっては人材確保が難しい状況が続いていることがうかがえます。
制度環境の変化も含めて「続け方」を整理したい場合は、こちらも参考になります:
2026年診療報酬改定で、院長がまず整理すべきこと――点数ではなく「続け方」を見直す局面に来ている
採用が決まらないことは、医院の問題とは限らない
採用がうまくいかないとき、院長の中では「うちの医院に問題があるのではないか」と感じることもあります。
しかし採用は、地域の人材状況、医療業界全体の人手不足、求職者の働き方の変化など、さまざまな要因の影響を受けます。
そのため、採用がすぐに決まらないことが医院そのものの問題とは限りません。焦って結論を出すより、まず状況を整理することが大切になります。
採用が難しいときは業務の整理も必要になることがある
医療機関は他業種と比べて、好条件(特に給与)を提示しづらいケースもあります。そのため採用が難しい場合は「人を増やす」だけでなく、業務の整理という視点が必要になることもあります。
人に任せる業務/外部に任せる業務を分ける
まずは業務を「人が担う業務」と「外部に任せる業務」に分けて考えます。さらに院内業務も、患者対応などの対人業務と、事務処理などの間接業務に整理することで、スタッフが対人業務に寄せて働ける仕組みを検討しやすくなります。
何のためにやるのか、合意形成を取る
もう一つ重要なのは「なぜこの体制にするのか」を院内で共有することです。目的の合意形成がないまま業務分担だけを変えると、戸惑いや不満が生まれることがあります。業務の役割と目的を整理しながら進めることが大切です。
実際によくあるクリニックの悩み
実際の相談では、たとえば次のような状況を伺うことがあります。
- 外来数が多く、スタッフの負担が大きい
- 受付業務と医療事務業務が混在している
- 院長や特定のスタッフに業務が集中している
このような場合、採用だけで解決しようとすると「人員を増やす」ことが前提になりがちです。
一方で、業務の分担、外部委託、業務の見直しなどを整理することで、「何人必要なのか」「どのようなスタッフが必要なのか」が見えてくることもあります。
採用の問題は、採用だけの問題ではないこともある
クリニックの採用がうまくいかないとき、どうしても「求人の問題」として考えがちです。
しかし実際には、診療内容、業務体制、医院の役割、働き方など、さまざまな要素が関係しています。
そのため採用が難しいときは、採用だけを見直すのではなく、クリニック全体の状況を整理することが必要になる場合もあります。採用の問題は、採用だけの問題ではないこともあるからです。
「どこに相談すればいいか」も含めて整理したい場合は、こちらも参考になります:
クリニック経営の相談先をどう整理するか
まとめ
クリニックの採用がなかなか決まらないとき、まず大切なのは原因を1つに決めつけないことです。
採用は、地域の人材状況、診療内容、勤務条件、医院の役割、業務体制など、さまざまな要素が関係します。
採用だけで解決しようとするのではなく、医院全体の状況を整理することで、次に何を見直すべきかが見えてくることもあります。
もし採用のことで迷ったときは、すぐに結論を出そうとするのではなく、
一度立ち止まってクリニックの状況を整理してみることも大切です。
採用の悩みは、採用だけの問題ではないこともあります
クリニックの採用がなかなか決まらないとき、院長は
- 地域の人材状況
- 診療内容と業務体制
- 医院の役割
- 働き方や組織の仕組み
など、さまざまな要素の影響を受けていることがあります。
採用だけを見直すのではなく、クリニック全体の状況を整理することで、次に何を見直すべきかが見えてくることもあります。
まえやまだ純商店では、開業準備中〜開業後の院長向けに、クリニック経営の状況整理をお手伝いしています。