クリニックの患者数が少ない・患者が来ないと感じたら|集患施策の前に院長が整理したいこと
クリニックの患者数が思ったより少ない。
開業したのに患者さんが来ない。集患できていないのではないか。このままで大丈夫なのか。
そう感じると、広告を出す、ホームページを直す、MEOを強化する、SNSを始めるなど、何か集患施策を増やしたくなることがあります。
「何かしなければ」と感じるのは自然なことですし、患者数を増やす方法を探したくなるのも当然です。
もちろん、集患施策が必要な場合もあります。
ただ、患者数が少ないと感じたときほど、すぐ施策を増やす前に、いま何が起きているのかを分けて整理することが大切です。
同じ「患者数が少ない」でも、新患が少ないのか、再診につながっていないのか、認知が足りないのか、患者さんから見えにくいのか、収入構造として問題が大きいのかによって、次に取るべき判断は変わります。
この記事で整理すること
- 患者数が少ないとき、すぐ集患施策を始めるべきか
- 「患者が来ない」の中身をどう分けて見るか
- 患者数だけで経営状態を判断してよいのか
- 患者さんから自院がどう見えているか
- 地域との接点や自院の役割をどう整理するか
- 何から優先して見直すべきか
目次
患者数が少ないからといって、すぐ集患対策を始めるべき?
患者数が少ないと感じると、すぐに何かを始めた方がよいのではないかと不安になることがあります。
広告を出す。ホームページを修正する。Googleマップ対策を強める。SNSを始める。診療メニューを増やす。
いずれも選択肢にはなります。
ただし、患者数が少ない理由が分からないまま施策だけを増やすと、費用や手間をかけたわりに、何が改善したのか分かりにくくなることがあります。
必要なのは、最初から施策を増やすことではなく、まず「どこで患者さんとの接点が切れているのか」を整理することです。
集患施策を始めるかどうかは、その整理の後に判断した方が、自院に合った一手を選びやすくなります。
開業後の患者数がいつ安定するのかを知りたい場合
開業直後で「まだ様子を見る時期なのか」「もう見直した方がよいのか」と迷う場合は、こちらの記事も参考になります。
① 「患者が来ない」の中身を分けてみる
まず整理したいのは、「患者数が少ない」と感じている状況そのものです。
同じ患者数の不安でも、中身は一つではありません。
- 開業してまだ数か月で、地域での認知が広がる途中なのか
- 想定していた新患数より少ないのか
- 新患は来ているが、再診につながっていないのか
- 曜日や時間帯によって偏りが大きいのか
- 特定の診療内容だけ伸びていないのか
- 患者数はいるが、売上や利益につながりにくい構造なのか
「少ない」という一言でまとめてしまうと、次に何を見直すべきかが見えにくくなります。
新患が少ない場合と、再診が積み上がっていない場合では、見るべき場所が違います。
また、開業直後の認知不足と、開業後しばらく経ってからの患者減少でも、考えるべきことは変わります。
まずは、いまの不安を数字と状況に分けてみることが出発点です。
② 患者数だけで経営状態を判断しない
患者数が少ないと感じると、どうしても人数だけに意識が向きやすくなります。
しかし、クリニック経営では、患者数だけで状況を判断することはできません。
同じ患者数でも、診療内容、再診率、単価、スタッフ体制、固定費によって、経営への影響は大きく変わります。
- 新患は少ないが、再診が安定している
- 患者数は多いが、スタッフ負担が大きく利益が残りにくい
- 患者数は少なく見えるが、診療単価や継続率で支えられている
- 患者数はある程度あるが、空き時間や曜日の偏りが大きい
- 売上よりも院長やスタッフの疲弊が先に問題になっている
患者数を増やすことは大切です。
ただし、患者数を増やせばすべて解決するとは限りません。
むしろ、どの患者さんを増やしたいのか、どの診療を伸ばしたいのか、どの時間帯を埋めたいのかを整理しないまま増患だけを目指すと、院内の負担が増えることもあります。
患者数の不安を考えるときは、人数だけでなく、収入構造や診療体制も合わせて見ることが必要です。
③ 誰に来てほしいクリニックなのかを整理する
次に整理したいのは、「誰に来てほしいクリニックなのか」です。
患者数を増やしたいと考えると、できるだけ多くの人に来てもらいたいと思うかもしれません。
しかし、実際には、どのような患者さんに来てほしいのかが曖昧なままだと、ホームページや看板、院内掲示、地域への伝え方も曖昧になりやすくなります。
- 生活習慣病を継続して診る外来にしたい
- 地域のかかりつけとして相談される存在になりたい
- 専門性のある外来を育てたい
- 働く世代が通いやすい診療体制にしたい
- 高齢患者さんや家族が相談しやすいクリニックにしたい
「幅広く診ます」という姿勢は大切です。
一方で、患者さんから見ると、「結局、何を相談してよいクリニックなのか」が分かりにくくなることもあります。
誰に来てほしいのかが言葉になると、発信内容も、診療案内も、地域への伝え方も変わります。
④ 患者さんからどう見えているかを確認する
院長としては丁寧に診療内容を考えていても、それが患者さんに伝わっているとは限りません。
患者さんは、ホームページ、Googleマップ、看板、口コミ、紹介、院内の雰囲気など、限られた情報から「ここに相談してよいか」を判断します。
- どんな症状を相談してよいか分かるか
- どんな診療をしているか分かるか
- 初めてでも受診しやすい印象があるか
- 予約方法や受付時間が分かりやすいか
- 院長やスタッフの姿勢が伝わっているか
- 他院との違いが自然に伝わっているか
「伝えている」ことと、「伝わっている」ことは同じではありません。
特に初診の患者さんは、じっくり読み込む前に、短い時間で判断していることがあります。
患者数が少ないと感じるときは、自院が患者さんからどう見えているかを一度確認してみることも大切です。
⑤ 地域との接点と自院の役割を見直す
患者さんとの接点は、インターネット検索だけではありません。
近隣の医療機関、薬局、介護事業所、地域の関係者、既存患者さんからの紹介など、地域の中で少しずつ認知が広がることもあります。
- どのような患者さんを受けているか、地域に伝わっているか
- 紹介しやすいクリニックとして見えているか
- 薬局や介護事業所との接点はあるか
- 地域の中でどのような役割を担いたいか
- 自院の診療内容が周囲に伝わる機会はあるか
患者数を増やすというと、広告やホームページに意識が向きがちです。
もちろん、それらも大切です。
ただ、地域で選ばれるクリニックになるためには、オンライン上の見え方だけでなく、地域との接点も整理する必要があります。
自院が地域の中でどのような役割を担うのかを考えることは、集患だけでなく、長く続く経営にも関わります。
⑥ 何を優先して判断するかを決める
患者数が少ないと感じると、やるべきことが一気に増えたように感じます。
ホームページ、広告、Googleマップ、看板、診療メニュー、予約導線、地域連携、院内フロー。
どれも大切に見えるため、かえって判断が散らばることがあります。
だからこそ、最後に整理したいのは優先順位です。
- まず新患数を増やしたいのか
- 再診につながる流れを整えたいのか
- 特定の診療領域を育てたいのか
- 曜日や時間帯の偏りを見直したいのか
- スタッフが無理なく回る状態を優先したいのか
- 収入構造を安定させたいのか
- 院長として納得して続けられる形を作りたいのか
何を優先するかによって、次の一手は変わります。
広告を出すべき場合もあります。
ホームページの見直しが先の場合もあります。
予約や再診の流れを整える方が効果的な場合もあります。
地域との接点を作る方が、自院に合っている場合もあります。
短期的に患者数を増やすための応急処置が必要な場合もあります。
一方で、その施策が数年先も続けられる運用なのか、院長やスタッフに無理がかかりすぎないかは、別に整理して考える必要があります。
患者数が少ないときほど、「とにかく増やす」ではなく、「何から整えるか」を決めることが大切です。
患者数が伸びないときによくある要因
患者数が少ない、思ったより伸びないと感じる背景には、いくつかの要因が重なっていることがあります。
ここでは、よくある要因を整理します。
1. 開業して間もなく、まだ認知が広がっていない
開業直後は、地域の方に存在を知ってもらう途中の時期です。
ホームページを公開している、看板を出している、内覧会を行ったとしても、地域の中で自然に思い出してもらえる状態になるまでには時間がかかることがあります。
2. 来てほしい患者像が曖昧になっている
「幅広く診ます」という姿勢は大切ですが、患者さんから見ると、何を相談してよいクリニックなのかが分かりにくくなることもあります。
誰に来てほしいのか。どのような相談を受けたいのか。ここが整理されると、発信内容や地域への伝え方も変わってきます。
3. ホームページや看板で診療内容が伝わっていない
院長が考えている診療内容と、患者さんが受け取っている印象には差が出ることがあります。
特に初めて受診する患者さんは、短い時間で「ここに相談してよいか」を判断します。
診療内容、対象となる症状、予約方法、初診時の流れなどが分かりやすいかを確認してみることも大切です。
4. 地域連携の接点が少ない
患者さんの来院経路は、インターネット検索だけではありません。
近隣の医療機関、薬局、介護事業所、地域の関係者との接点から、少しずつ認知が広がることもあります。
どのような患者さんを受けているのか、紹介しやすいクリニックとして伝わっているのかを見直すことも整理の一つです。
5. 新患は来ているが、継続受診につながっていない
新患は一定数来ているのに患者数が積み上がらない場合、再診につながる流れを確認したいところです。
再診予約の取り方、説明の仕方、通院継続の必要性の伝え方、予約の取りやすさなどに見直し余地があるかもしれません。
6. 患者数ではなく、収入構造に課題がある
患者数そのものよりも、診療単価、再診率、検査や管理料の算定状況、スタッフ配置、固定費とのバランスに課題がある場合もあります。
この場合、単に患者数を増やすだけでは、経営の不安が解消しないことがあります。
患者数と収入構造を分けて見ることが必要です。
実際に整理した事例はこちら
「患者数が思ったより伸びない」と感じていた院長と、実際にどのような整理を行ったのかをまとめています。
整理することで、何が変わるのか
現状を分けて整理すると、広告、ホームページ、予約導線、地域連携などの選択肢を一つずつ比較しやすくなります。
その結果、何から着手するかを決めやすくなり、迷う時間や調べ続ける時間を減らしやすくなります。
院長が一人で考えていると、患者数、売上、スタッフ負担、広告、地域連携などが頭の中で混ざってしまうことがあります。
だからこそ、現状・論点・選択肢・優先順位を分けて整理することには意味があります。
比較に使う時間が減る。迷う時間が減る。診療やスタッフとの関わりに使える時間が増える。
その状態を作るためにも、患者数が少ないと感じたときは、施策を増やす前に判断材料を整理することが大切です。
まとめ
クリニックの患者数が少ない、患者さんが来ない、集患できていないと感じると、不安になるのは自然なことです。
ただ、すぐに広告や集患施策を増やす前に、まず状況を分けて整理することで、次の判断がしやすくなる場合があります。
- 「患者が来ない」の中身を分ける
- 新患・再診・曜日・診療内容のどこに課題があるかを見る
- 患者数だけでなく、収入構造や診療体制も確認する
- 誰に来てほしいクリニックなのかを整理する
- 患者さんからどう見えているかを確認する
- 地域との接点や自院の役割を見直す
- 何を優先して判断するかを決める
患者数を増やすことは大切です。
しかし、どの患者さんを増やしたいのか、どこで受診につながっていないのか、自院として何を優先したいのかによって、取るべき一手は変わります。
患者数が少ないと感じたときほど、施策を増やす前に、現状・論点・選択肢・優先順位を整理することが、次の判断につながります。
患者数の不安を、一人で抱え込んでしまう前に
患者数が少ないと感じる理由は、クリニックによって異なります。
広告、ホームページ、予約導線、地域連携など、見直しの選択肢は複数ありますが、何から着手するべきかは自院の状況によって変わります。
まえやまだ純商店では、院長が一人で抱えている状況を第三者の立場から整理し、現状・論点・選択肢・優先順位を分けて、自院として納得して判断しやすい状態を整えるお手伝いをしています。
比較に使う時間や迷う時間を減らし、診療やスタッフとの関わりに時間を使えるようにするためにも、まずは現在の状況をお聞かせください。