クリニック開業後、患者数が少ないときに確認したい7つのこと
更新日:2026年10月4日
クリニックを開業したものの、患者数が開業前の想定より少ない。
そのような状況になると、「まだ地域に知られていないだけなのか」「ホームページやGoogleマップを見直すべきなのか」「広告を増やした方がよいのか」と迷うことがあります。
ただし、患者数が少ない理由は一つとは限りません。
新患そのものが少ない場合もあれば、新患は来ているものの再診がまだ積み上がっていない場合、予約や受診までの流れに分かりにくさがある場合、開業前に想定していた患者層と実際の患者層が異なる場合もあります。
開業初期に最初に確認したいのは、集患施策を増やすことではなく、開業前の想定と現在の実績にどのような差があるかです。
この記事では、クリニック開業後、患者数が想定より少ないときに確認したい7つのことを整理します。
先に結論
開業後の患者数が少ないときは、次の7項目を確認します。
- 開業前の想定と現在の実績を比べる
- 新患数と再診数を分ける
- 曜日・時間帯・診療内容別の偏りを見る
- 予約から受診までの流れを確認する
- 想定した患者層と実際の患者層を比べる
- 来院経路と地域への伝わり方を確認する
- 患者数と収入構造を分け、判断時期を決める
患者数が少なくても、すぐ施策を増やす必要はない
広告やホームページなどの見直しが必要な場合はあります。
ただし、患者数が少ないからといって、すぐに新しい施策を増やす必要があるとは限りません。
例えば、
- 新患そのものが少ない
- 新患は来ているが、再診がまだ積み上がっていない
- 地域には知られているが、予約まで進みにくい
- 想定した患者層と、実際の患者層が異なっている
では、確認する場所が変わります。
また、開業からまだ日が浅く経過を見る余地がある場合と、固定費や手元資金の状況から早めに確認した方がよい場合でも対応は異なります。
施策を決める前に、まず自院ではどこに想定との差があるのかを分けます。
患者数が安定するまでの時間軸を知りたい場合
クリニック開業後、患者数はいつ安定する? で整理しています。
以前は来ていた新規患者が最近減った場合
この記事は、開業初期から患者数が想定より少ない場合を対象としています。
以前は一定数来ていた新規患者が最近減った場合は、 クリニックの患者が減ったときに確認したいこと|新規患者減少の原因を整理する をご覧ください。
開業初期に確認したい7つのこと
1.開業前の想定と現在の実績を比べる
「患者数が少ない」と感じたときは、まず何と比べて少ないのかを明らかにします。
近隣クリニックや一般的な平均患者数ではなく、開業前に自院で置いていた前提と現在の実績を比べます。
- 想定した患者数と、実際の新患数・再診数
- 想定した診療日数・時間と、実際の稼働状況
- 想定した患者層と、実際の患者層
- 想定した診療内容と、実際に多い相談内容
- 想定した来院経路と、実際の来院経路
- 想定した収入と、現在の収入構造
計画との差があっても、すぐに「開業計画が間違っていた」と判断する必要はありません。
まず、どの前提と実績に差があるのかを分けることが出発点です。
2.新患数と再診数を分ける
- 新患そのものが想定より少ないのか
- 新患は来ているが、次の受診につながっていないのか
- 再診患者がまだ十分に蓄積していないのか
- 診療上必要な再診時期がまだ到来していないのか
- 一度の受診で完結しやすい診療内容が多いのか
開業初期は、新患が来院しても再診として積み上がるまでに時間がかかります。
「再診が少ない=患者が定着していない」と決めつけず、診療内容や開業からの経過も確認します。
3.曜日・時間帯・診療内容別の偏りを見る
- 特定の曜日や時間帯だけ少ない
- 午前は来院があるが、午後に空きが多い
- 想定した診療内容の患者さんが少ない
- 想定とは異なる患者層の来院が多い
- 予約は入るがキャンセルが多い
患者数全体だけを見るのではなく、曜日、時間帯、診療内容ごとに分けると、どこに差があるのか確認しやすくなります。
4.予約から受診までの流れを確認する
クリニックの存在を知られていても、予約や受診までの途中に分かりにくさがあると来院につながらないことがあります。
- 予約方法がすぐ分かるか
- 電話・WEB・LINEなどの窓口が複雑になっていないか
- 予約可能な日時が分かりやすいか
- 予約なしで受診できるかが伝わっているか
- 診療時間と受付時間の違いが分かるか
- 初診時の持ち物や流れが分かるか
ホームページの閲覧や問い合わせがあるのに受診につながっていない場合は、認知を広げる前に、予約から受診までの流れを確認する方がよい場合があります。
5.想定した患者層と実際の患者層を比べる
- 継続診療を想定していたが、単発受診が多い
- 働く世代を想定していたが、高齢患者さんが多い
- 専門外来を想定していたが、一般診療の相談が多い
- 想定とは異なる診療内容の需要が見えている
想定と異なる患者さんが来院していること自体が問題とは限りません。
地域で実際に求められている診療が、開業前の想定と異なっている可能性もあります。
現在来院している患者さんから見える需要と、自院が今後担いたい診療の両方を確認します。
6.来院経路と地域への伝わり方を確認する
開業前に想定していた来院経路と、実際の来院経路を比べます。
- ホームページや検索
- Google検索・マップ
- 看板や建物
- 患者さんや家族からの紹介
- 近隣医療機関からの紹介
- 薬局や介護事業所などからの紹介
想定した来院経路が機能していなければ、地域に十分知られていない可能性があります。
一方で、閲覧や問い合わせはあるのに受診につながらない場合は、認知不足ではなく、診療内容の伝わり方や予約導線を確認します。
7.患者数と収入構造を分け、判断時期を決める
患者数が少ないことと、直ちに経営状態が悪いことは同じではありません。
- 患者数は少ないが、再診が徐々に積み上がっている
- 患者数は想定より少ないが、一定の収入を確保できている
- 患者数は増えているが、人員や運用負担が大きい
- 診療内容が想定と異なり、収入構造が計画とずれている
- 固定費と収入の差が大きく、長く経過を見にくい
患者数、新患・再診の構成、固定費、人員配置、手元資金を確認し、どの程度まで経過を見ることができるかを考えます。
今すぐ確認したいこと
- 新患数・再診数・曜日別患者数
- 予約から受診までの流れ
- 診療時間と受入枠
- 患者さんの来院経路
- 固定費と手元資金
確認してから決めたいこと
- 新たな広告投資
- ホームページ全体の大規模な改修
- 診療内容や診療時間の変更
- スタッフの増員
今すぐ決めなくてよいことを分け、次に数字を確認する時期を決めることで、焦りから複数の施策を同時に始めることを避けやすくなります。
認知不足・受診導線・再診のどこを見るか
患者数が少ない理由をさらに整理する場合は、次の3つに分けると確認しやすくなります。
まだ十分に知られていない
- ホームページやGoogleマップの閲覧自体が少ない
- 看板から診療内容が分かりにくい
- 地域の関係者へ診療内容が伝わっていない
- 患者さんが自院を知る接点が少ない
この場合は、地域での認知や情報の伝わり方を確認します。
知られているが、受診につながっていない
- ホームページやGoogleマップの閲覧はある
- 電話や問い合わせはある
- 予約ページまで進んでいる
- 診療内容や受診方法への質問が多い
- 予約可能な日時が分かりにくい
この場合は、認知をさらに広げる前に、診療内容の伝わり方、予約方法、初診時の流れを確認します。
新患は来ているが、再診がまだ少ない
- 再診対象となる患者さんがまだ少ない
- 診療上必要な次回受診時期がまだ来ていない
- 再診予約の方法が分かりにくい
- 単発受診の多い患者層になっている
再診が少ない場合も、すぐ患者対応の問題と決めつけず、診療内容、患者層、開業からの経過を合わせて確認します。
同じ「患者数が少ない」でも確認する場所は異なります
- 新患自体が少ない:認知、診療内容、来院経路
- 閲覧や問い合わせはある:予約・受診導線
- 新患は来ているが再診が少ない:診療内容、再診時期、患者層
- 特定曜日だけ少ない:診療時間、受入枠
経過を見る場合と、早めに確認したい場合
開業後、どの程度様子を見るべきかを一律に決めることはできません。
開業からの期間だけでなく、新患・再診の推移、来院経路、予約状況、固定費、手元資金を合わせて考えます。
一定期間、数字を確認する余地がある場合
- 開業からまだ日が浅い
- 新患数が少しずつ増えている
- 再診患者がまだ蓄積途中である
- ホームページや地域への案内を整えたばかりである
- 受診導線に明らかな支障が見当たらない
- 資金面から一定期間の推移を確認できる
この場合も、何となく待つのではなく、確認する数字と次に見直す時期を決めます。
早めに状況を確認したい場合
- 開業前の想定と実績の差が大きい
- 新患数にほとんど変化がない
- 問い合わせはあるが受診につながらない
- 診療時間や受入枠が地域の需要と合っていない可能性がある
- 想定した患者層と実際の患者層に大きな差がある
- 固定費と収入の差が大きい
- 手元資金から長期間の経過観察が難しい
早めに確認することは、すぐ広告や大規模改修を行うという意味ではありません。
まず、どこに差や支障があるかを確認し、今対応することと、経過を見ることを分けます。
確認結果によって次の一手は変わる
確認した結果、広告やホームページの見直しが必要になる場合もあります。
一方で、
- 診療内容や予約案内の一部だけを修正する
- Google検索・マップ上の基本情報を整える
- 再診予約の伝え方を見直す
- 診療時間や受入枠を確認する
- 地域の関係者へ診療内容を伝える
- 一定期間、同じ項目を記録する
- 新しい施策を増やさず院内運用を整える
という判断になることもあります。
必要な施策を否定するわけではありません。
大切なのは、「患者数が少ないから施策を増やす」のではなく、自院で何が起きているのかを確認し、なぜその対応を選ぶのかを持てることです。
患者数を増やした後も続けられるか確認する
短期的に患者さんへの認知を広げる必要がある場合もあります。
ただし、患者数を増やすことと、その状態を無理なく続けられることは別です。
- 患者数が増えたとき、現在の体制で対応できるか
- 受付や予約の負担が特定のスタッフへ偏らないか
- 院長の診療負担が過度に増えないか
- 追加した診療内容を継続できるか
- 地域で担いたい役割と合っているか
目の前の患者数だけでなく、続けられる院内運用も合わせて確認します。
開業後の患者数について整理した相談事例
開業して数か月、患者数が思ったより伸びないと感じていた院長と整理した内容は、 開業して数ヶ月、患者数が思ったより伸びないと感じたとき院長と整理したこと【相談事例】 で紹介しています。
まとめ|患者数が少ないときは、まず想定との差を確認する
クリニック開業後、患者数が想定より少ないと、何か施策を増やさなければならないと焦ることがあります。
しかし、最初に確認したいのは、一般的な集患方法ではありません。
- 開業前の想定と現在の実績を比べる
- 新患数と再診数を分ける
- 曜日・時間帯・診療内容別の偏りを見る
- 予約から受診までの流れを確認する
- 想定した患者層と実際の患者層を比べる
- 来院経路と地域への伝わり方を確認する
- 患者数と収入構造を分け、判断時期を決める
広告やホームページの見直しが必要な場合もあれば、予約案内の一部を直す、一定期間数字を記録する、受入体制を整えるという判断になることもあります。
患者数を増やすことだけを目的にせず、現在何が起きているのかを確認したうえで、自院として次に何を行うかを判断することが大切です。
開業後の患者数について、何から確認するか整理しにくいときは
開業前の計画、現在の患者数、新患・再診の状況、予約、診療内容、スタッフ体制、地域への伝わり方などが重なると、何を問題として捉えるか分けにくくなることがあります。
そのような場合は、無料相談で現在の状況やこれまでの経緯を伺い、今確認することと、あとで判断することを一緒に整理します。
広告を増やす、ホームページを大きく変える、診療時間を変更するといった結論を最初から決めるのではなく、自院で何が起きているのかを確認し、次の判断に必要な論点を整理します。
まずは現在の状況を確認するところから
相談内容がまとまっていない段階でも構いません。
無料相談は、有料支援の利用を前提とした面談ではありません。
支援内容や料金を先に確認したい方は、 経営相談の内容・流れ・料金 をご覧ください。
