クリニック開業後、患者数が想定より少ないときに確認したい7つのこと
更新日:2026年8月6日
クリニックを開業したものの、患者数が開業前の想定より少ない。
まだ地域に知られていないだけなのか、診療内容の伝え方や予約方法を見直すべきなのか。このまま様子を見てよいのか。
資金面の不安が重なると、広告、ホームページ、Googleマップ、SNSなど、すぐに施策を追加したくなることがあります。
しかし、理由を確認しないまま複数の施策を始めると、費用や院内負担が増え、何が結果につながったのか分かりにくくなります。
開業初期に最初に行いたいのは、集患施策を決めることではなく、開業前の想定と現在の実績にどのような差があるかを確認することです。
この記事では、開業して間もなく患者数が想定より少ないと感じている院長に向けて、何から確認するかを整理します。
先に結論
開業後の患者数が想定より少ないときは、次の7項目を確認します。
- 開業前の想定と現在の実績を比べる
- 新患数と再診数を分ける
- 曜日・時間帯・診療内容別の偏りを見る
- 予約から受診までの流れを確認する
- 想定した患者層と実際の患者層を比べる
- 来院経路と地域への伝わり方を確認する
- 患者数と収入構造を分け、判断時期を決める
目次
患者数が少なくても、すぐ施策を増やすべき?
広告やホームページなどの見直しが必要な場合はあります。ただし、患者数が少ないからといって、すぐ施策を増やすべきとは限りません。
新患そのものが少ない場合と、新患は来ているものの再診がまだ積み上がっていない場合では、確認する場所が異なります。
また、地域に知られていない場合と、クリニックを知った患者さんが予約や受診まで進みにくい場合でも、対応は変わります。
患者数は想定より少なくても経過を見る余地がある場合と、固定費や手元資金から早めに確認した方がよい場合もあります。
施策を選ぶ前に、自院ではどこに想定との差があるのかを分けて考えることが必要です。
以前は来ていた新規患者が最近減った場合
この記事は、開業初期から患者数が想定より少ない場合を対象としています。以前は一定数来ていた新規患者が最近減った場合は、次の記事をご覧ください。
開業初期に確認したい7つのこと
1.開業前の想定と現在の実績を比べる
「患者数が少ない」と感じたときは、何と比べて少ないのかを明らかにします。
近隣クリニックや一般的な平均患者数ではなく、開業前に自院で置いていた前提と現在の実績を比べます。
- 想定した患者数と、実際の新患数・再診数
- 想定した診療日数・時間と、実際の稼働状況
- 想定した患者層と、実際の患者層
- 想定した診療内容と、実際に多い相談内容
- 想定した来院経路と、実際の来院経路
- 想定した収入と、現在の収入構造
計画との差があっても、すぐに計画が誤っていたと判断する必要はありません。どの前提と実績に差があるのかを分けることが出発点です。
2.新患数と再診数を分ける
- 新患そのものが想定より少ないのか
- 新患は来ているが、次の受診につながっていないのか
- 再診患者がまだ十分に蓄積していないのか
- 診療上必要な再診時期がまだ到来していないのか
- 一度の受診で完結しやすい診療内容が多いのか
開業初期は、新患が来院しても再診として積み上がるまでに時間がかかります。再診数だけで判断せず、診療内容や開業からの経過も確認します。
3.曜日・時間帯・診療内容別の偏りを見る
- 特定の曜日や時間帯だけ少ない
- 午前は来院があるが、午後に空きが多い
- 想定した診療内容の患者さんが少ない
- 想定とは異なる患者層の来院が多い
- 予約は入るがキャンセルが多い
曜日や診療内容ごとに分けることで、患者数全体ではなく、どこを確認すべきかが見えやすくなります。
4.予約から受診までの流れを確認する
クリニックの存在を知られていても、予約や受診までの途中に分かりにくさがあると、来院につながらないことがあります。
- 予約方法がすぐ分かるか
- 電話・WEB・LINEなどの窓口が複雑になっていないか
- 予約可能な日時が分かりやすいか
- 予約なしで受診できるかが伝わっているか
- 初診時の持ち物や流れが分かるか
- 問い合わせから受診までに不要な手間がないか
ホームページの閲覧や問い合わせがあるのに受診につながっていない場合は、認知を広げる前に、予約から受診までの流れを確認する方がよい場合があります。
患者さんにとって分かりやすいことと、スタッフが無理なく運用できることの両方を確認します。
5.想定した患者層と実際の患者層を比べる
- 継続診療を想定していたが、単発受診が多い
- 働く世代を想定していたが、高齢患者さんが多い
- 専門外来を想定していたが、一般診療の相談が多い
- 想定とは異なる診療内容の需要が見えている
想定と異なる患者さんが来院していること自体が、問題とは限りません。
地域で実際に求められている診療が、開業前の想定と異なっている可能性もあります。
現在来院している患者さんから見える需要と、自院が今後担いたい役割の両方を確認します。
6.来院経路と地域への伝わり方を確認する
開業前に見込んでいた来院経路と、実際の来院経路を比べます。
- ホームページや検索
- Googleマップ上の情報
- 看板や建物
- 患者さんや家族からの紹介
- 近隣医療機関からの紹介
- 薬局や介護事業所などからの紹介
想定した来院経路が機能していなければ、地域に十分知られていない可能性があります。
一方で、閲覧や問い合わせがあるのに受診につながらない場合は、認知不足ではなく、診療内容の伝わり方や予約導線を確認します。
7.患者数と収入構造を分け、判断時期を決める
患者数が少ないことと、直ちに経営状態が悪いことは同じではありません。
- 患者数は少ないが、再診が徐々に積み上がっている
- 患者数は想定より少ないが、一定の収入を確保できている
- 患者数は増えているが、人員や運用負担が大きい
- 診療内容が想定と異なり、収入構造が計画とずれている
- 固定費と収入の差が大きく、長く経過を見にくい
患者数、新患・再診の構成、固定費、人員配置、手元資金を確認し、どの程度まで経過を見られるかを判断します。
今確認すること
- 新患数・再診数・曜日別患者数
- 予約から受診までの流れ
- 診療時間と受入枠
- 患者さんの来院経路
- 固定費と手元資金
早めに修正すること
- 診療内容や予約方法の分かりにくい表示
- 受付や予約上の明らかな支障
- 数字を確認できていない場合の記録方法
確認してから決めること
- 新たな広告投資
- ホームページ全体の大規模な改修
- 診療メニューや診療時間の変更
- スタッフの増員
今すぐ決めなくてよいことを分け、次に数字を確認する時期を決めることで、焦りから複数の施策を始めることを避けやすくなります。
認知不足なのか、受診導線の問題なのか
開業初期に患者数が少ないときも、すぐに「まだ知られていないから」と決めつけないことが大切です。
まだ十分に知られていない可能性
- ホームページやGoogleマップの閲覧自体が少ない
- 看板から診療内容が分かりにくい
- 地域の関係者へ診療内容が伝わっていない
- 患者さんが自院を知る接点が少ない
知られているが、受診につながっていない可能性
- ホームページやGoogleマップの閲覧はある
- 電話や問い合わせはある
- 予約ページまで進んでいる
- 診療内容や受診方法への質問が多い
- 予約可能な日時が分かりにくい
この場合は、認知をさらに広げる前に、診療内容の伝わり方、予約方法、初診時の流れなどを確認する方がよい場合があります。
新患は来ているが、再診が積み上がっていない場合
- 再診の対象となる患者さんがまだ少ない
- 診療上必要な次回受診の時期が伝わっていない
- 再診予約の方法が分かりにくい
- 実際の患者層が単発受診の多い構成になっている
再診が少ない場合も、患者対応の問題と決めつけず、診療内容、患者層、開業からの経過を合わせて確認します。
同じ「患者数が少ない」でも、確認する場所は異なります
- 新患自体が少ない:認知、診療内容、来院経路を確認する
- 閲覧や問い合わせはある:予約・受診導線を確認する
- 新患は来ているが再診が少ない:診療上必要な再診時期や説明を確認する
- 特定曜日だけ少ない:診療時間や受入枠を確認する
- 患者数は増えているが院内が回らない:院内運用を先に整える
経過を見る場合と、早めに確認したい場合
開業後、どの程度様子を見るべきかを一律に決めることはできません。
開業からの期間だけでなく、新患・再診の推移、来院経路、予約状況、固定費、手元資金を合わせて判断します。
一定期間、数字を確認する余地がある場合
- 開業からまだ日が浅い
- 新患数が少しずつ増えている
- 再診患者がまだ蓄積途中である
- ホームページや地域への案内を整えたばかりである
- 受診導線に明らかな支障が見当たらない
- 資金面から一定期間の推移を確認できる
この場合も、何となく待つのではなく、確認する数字と次に見直す時期を決めます。
早めに状況を確認したい場合
- 開業前の想定と実績の差が大きい
- 新患数にほとんど変化がない
- 問い合わせはあるが受診につながらない
- 診療時間や受入枠が地域の需要と合っていない可能性がある
- 想定した患者層と実際の患者層に大きな差がある
- 固定費と収入の差が大きい
- 手元資金から長期間の経過観察が難しい
早めに確認することは、すぐに広告や大規模改修を行うことではありません。
まず、どこに差や支障があるかを確認し、必要な対応と経過を見る項目を分けます。
確認結果によって次の一手は変わる
確認した結果、広告やホームページの見直しが必要になる場合もあります。
一方で、次のような判断になることもあります。
- 診療内容や予約案内の一部だけを修正する
- Googleマップ上の基本情報を整える
- 診療上必要な再診時期や予約方法の伝え方を見直す
- 診療時間や受入枠を確認する
- 地域の関係者へ診療内容を伝える
- 一定期間、同じ項目を記録する
- 新たな施策を増やさず院内運用を整える
必要な施策を否定するわけではありません。
大切なのは、自院で起きていることを確認し、なぜその施策を行うのかを言葉にできることです。
判断理由を持てれば、外部から受けた提案を比較しやすくなり、スタッフへも方針を説明しやすくなります。
短期的な対応と、続けられる運用を合わせて考える
短期的に患者さんへの認知を広げる必要がある場合もあります。ただし、患者数を増やすことと、その状態を無理なく続けられることは別の問題です。
- 患者数が増えたとき、現在の体制で対応できるか
- 受付や予約の負担が特定のスタッフへ偏らないか
- 院長の診療負担が過度に増えないか
- 追加した診療内容を継続できるか
- 地域で担いたい役割と合っているか
目の前の患者数、無理なく続けられる院内運用、地域で果たしたい役割を合わせて考えることが大切です。
開業後の患者数について整理した事例
開業して数か月、患者数が思ったより伸びないと感じていた院長と、数字や診療の方向性を整理した内容をご紹介しています。
まとめ
開業後の患者数が想定より少ないと、何か施策を増やさなければならないと焦ることがあります。
しかし、最初に行いたいのは、一般的な集患方法を探し続けることではありません。
- 開業前の想定と現在の実績を比べる
- 新患数と再診数を分ける
- 曜日・時間帯・診療内容別の偏りを見る
- 予約から受診までの流れを確認する
- 想定した患者層と実際の患者層を比べる
- 来院経路と地域への伝わり方を確認する
- 患者数と収入構造を分け、判断時期を決める
広告やホームページの見直しが必要な場合もあれば、予約案内の一部を直す、診療上必要な再診の流れを確認する、一定期間数字を記録するという判断になる場合もあります。
大切なのは、患者数を増やすことだけを目的にせず、院長ご自身が判断理由を持ち、自院として今行うことと、あとで判断することを分けられる状態になることです。
開業初期の状況を、一人では整理しきれないと感じたときに
開業前の計画、現在の患者数、収入、スタッフ体制、ホームページ、予約、地域への伝わり方が重なると、何を問題として捉え、何から確認するかを分けにくくなることがあります。
まえやまだ純商店では、特定の施策を勧めることを前提とせず、これまでの経緯、確認できている事実、判断が必要な論点、選択肢を整理します。
そのうえで、今決めることとあとで決めること、誰に何を確認するか、次に行う一歩を明らかにし、院長ご自身が自院として判断理由を持てる状態を目指します。
状況確認面談は、無料で答えや解決策を提示する場ではありません。現在の状況とご相談内容を伺い、支援が合いそうかを相互に確認する場です。
