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クリニック開業・経営コラム

開業後、「患者が来ない」と感じたときに院長と整理したこと【相談事例】

更新日:2026年9月19日

クリニックを開業して数か月経っても、「患者が来ない」「新患が思ったより増えない」と感じることがあります。

そのようなとき、広告を出すべきか、ホームページを見直すべきか、診療時間を変えるべきか、それとももう少し経過を見るべきか、判断に迷う院長もいます。

患者数への不安が強くなるほど、いくつもの対策を同時に考えたくなります。

しかし、患者が来ない理由は一つとは限りません。

この相談では、すぐに集患施策を決めるのではなく、「何が起きているのか」「何を今確認するのか」「何をあとで判断するのか」を分けるところから始めました。

この記事では、開業後の患者数に不安を感じていた院長と実際に整理した内容をご紹介します。

この記事の結論

「患者が来ない」と感じたときは、患者数を一つの数字で見ず、新患・再診、曜日・時間帯、患者層、来院経路などに分けて確認します。

そのうえで、開業後の経過、地域からの見え方、院内で無理なく続けられるかを確認し、今判断することと、経過を見てから判断することを分けます。

この相談で整理したこと

  • 「患者が来ない」と感じていた背景
  • 新患・再診、曜日・時間帯ごとの患者数
  • 想定していた患者層と実際の患者層
  • 院長が考えていたクリニック像と地域からの見え方
  • 今確認することと、あとで判断すること
  • 自院として次に何を行うか

相談のきっかけ|患者が来ない。このままで大丈夫なのか

相談のきっかけは、院長からの次のようなお話でした。

「開業して数か月経ちましたが、思ったより患者さんが来ません。」

「新患も思ったほど増えていません。」

「このままで経営は大丈夫でしょうか。」

開業前に診療圏調査や事業計画を作成していても、実際の立ち上がりが想定どおりに進むとは限りません。

開業して間もない時期は、地域に認知されるまで時間がかかることもあります。

一方で、想定より患者数が少ない状態が続けば、どこかを確認する必要がある可能性もあります。

この相談でも、最初は「患者数をどう増やすか」という話から始まりました。

ただ、お話を伺っていくと、院長が気にされていたのは、患者数という数字だけではありませんでした。

「何を変えるべきなのか分からない」「今のままでよいのか判断できない」という状態そのものが、院長の負担になっていました。

開業初期から患者数が想定より少ない場合

一般的な確認ポイントについては、 クリニック開業後、患者数が少ないときに確認したい7つのこと で整理しています。

最初に「患者が来ない」を数字に分けました

最初に確認したのは、「患者が来ない」という感覚が、どの数字から生まれているのかということでした。

患者数を一つの数字として見るだけでは、どこに課題があるのか分かりにくいことがあります。

新患と再診を分ける

新患が少ないのか、新患は来ているものの再診がまだ積み上がっていないのかでは、確認する内容が変わります。

新患が少ない場合は、地域での認知や受診前の情報、予約方法などを確認する必要があります。

一方、初診患者は来ているものの再診が少ない場合は、診療内容、患者層、開業からの経過などを別に確認します。

曜日・時間帯を分ける

患者数が少ないと感じていても、すべての曜日や時間帯で同じとは限りません。

  • 特定の曜日だけ少ない
  • 午前は来院があるが、午後は少ない
  • 週の前半と後半で差がある
  • 特定の診療内容だけ少ない

このように分けることで、「患者が来ない」という大きな不安を、確認できる事実へ置き換えやすくなります。

開業前の想定とも比べる

事業計画で想定していた患者数と実際の患者数に差がある場合も、数字だけで判断しないことが大切です。

  • 開業後、どの程度の期間が経過しているか
  • 開業前に想定した条件と現在の状況に違いがないか
  • 地域環境に変化がないか
  • 想定していた患者層が実際に来院しているか

この相談では、まず確認する数字と期間を分け、すぐに結論を出すのではなく、現在の状況を見直すことから始めました。

患者が来ない理由を、認知だけで考えない

患者が来ないと感じると、広告、ホームページ、SNSなど、認知を広げる方法を増やしたくなることがあります。

もちろん、地域でまだ十分に知られていないのであれば、認知を広げる取り組みが必要な場合もあります。

ただし、患者数が伸びない理由は、認知だけとは限りません。

  • 何を相談できるクリニックなのか分かりにくい
  • 初診の受診方法が分かりにくい
  • 診療対象や特徴が患者さんへ伝わっていない
  • 来てほしい患者層と実際の来院層がずれている
  • 診療時間や予約方法が地域の患者さんと合っていない
  • 開業後、まだ認知が広がる途中にある

そのため、「患者を増やす方法」を先に決めるのではなく、どこに違いや支障があるのかを分ける必要があります。

以前は来ていた患者・新規患者が減った場合

開業初期から少ない場合ではなく、以前は一定数来院していた患者さんが減った場合は、 クリニックの患者が減ったときに確認したいこと で整理しています。

来てほしい患者層と、実際の患者層を比べました

次に確認したのは、院長が想定していた患者層と、実際に来院している患者層の違いでした。

例えば、継続的な通院が必要な患者さんを中心に診ていきたいと考えていても、実際には一時的な受診が多いことがあります。

また、特定の診療領域を地域で担いたいと考えていても、患者さんからは「近くにある一般的なクリニック」として見られていることもあります。

この違いがあると、患者数だけでなく、「開業前に思い描いていた形と違う」という感覚が残ります。

一緒に確認した問い

  • どのような患者さんに来てほしいと考えていたか
  • 実際にはどのような患者さんが来院しているか
  • その違いをいつ頃から感じているか
  • 来てほしい患者さんへ必要な情報が伝わっているか
  • 現在の体制で、その患者層を無理なく受け入れられるか

患者数だけでなく患者層を確認することで、「何人増やしたいか」だけではなく、「地域でどのような患者さんを支えたいか」という視点へ戻ることができました。

地域から自院がどう見えているか確認しました

さらに話を整理すると、院長の中にあるクリニック像と、地域からの見え方に差がある可能性がありました。

院長自身は、どのような診療を行いたいか、どのような患者さんを支えたいかを考えています。

しかし、その考えが患者さんへ同じように伝わっているとは限りません。

  • どのような症状や悩みを相談できるか分かるか
  • 初めての患者さんが受診方法を理解できるか
  • 予約や問い合わせの流れが分かりやすいか
  • 診療内容や対象患者が具体的に伝わっているか
  • 地域の中で、どのような役割のクリニックとして見えているか

ここを確認すると、「もっと患者さんを増やす」という問題だけではなく、「自院がどのような医療を提供するのかを、地域へどの程度伝えられているか」という論点が見えてきました。

施策を決める前に、自院の考えと患者さんから見える情報との間に違いがないかを確認する必要がありました。

院長が本当に判断する必要があったこと

相談の始まりは、「患者数が少ない」という話でした。

ただ、話を分けていくと、院長が本当に不安に感じていたのは、数字そのものだけではありませんでした。

「自院の方向性が、地域にどのように伝わっているのか分からない。」

患者数が少ないことに加え、何を変えるべきか判断できないことが負担になっていました。

判断基準が曖昧なままでは、新しい提案を受けるたびに比較や迷いが繰り返されます。

そこで、この相談では、具体的な施策より先に次の点を整理しました。

  • 今、事実として確認できていること
  • まだ確認できていないこと
  • 患者数が少ないと感じている背景
  • 院長が本当に判断する必要がある課題
  • 判断するときに大切にしたい基準
  • スタッフや院内運用への影響

「何かをしなければならない」から、「まず何を確認し、何を基準に判断するか」へ変えることが、この相談の大きなポイントでした。

今決めることと、経過を見ることを分けました

患者数への不安があると、すべてを早く決めなければならないように感じることがあります。

しかし、実際には今すぐ確認することと、一定期間の数字を見てから判断した方がよいことがあります。

この相談で分けたこと

  • 今すぐ確認する数字
  • 今後も継続して記録する数字
  • 院長の考えを言葉にしておくこと
  • 患者さんから見た情報を確認すること
  • 一定期間、経過を見てから判断すること
  • 必要に応じて関係者へ確認すること

この段階では、何らかの施策を急いで決めるよりも、まず確認する内容と期間を決めることを優先しました。

次に行うことが小さく具体的になると、複数の選択肢を比較し続ける時間も減らしやすくなります。

また、今すぐ決めないことを明確にすることも、経営判断の一つです。

まとめ|「患者が来ない」を一つの問題として扱わない

開業後、患者が思ったより来ないと感じると、何か対策を急がなければならないと思うことがあります。

しかし、今回の相談では、すぐ施策を増やすのではなく、まず状況を分けました。

  • 新患と再診
  • 曜日や時間帯
  • 開業前の想定との違い
  • 想定した患者層と実際の患者層
  • 地域からの見え方
  • 今確認することと、あとで判断すること

「患者が来ない」という一つの大きな問題として扱うのではなく、確認できる事実へ分けることで、何を判断する必要があるのかが見えやすくなります。

患者数を増やすことだけを目的にせず、現在何が起きていて、自院として何を大切にしたいのかを確認したうえで、次の一歩を決めることが大切です。

患者数について、何から確認するか整理しにくいときは

患者数、患者層、予約、診療内容、地域からの見え方、院内運用などが重なると、どこから確認すればよいか分かりにくくなることがあります。

そのようなときは、現在の状況やこれまでの経緯を確認しながら、今確認することと、あとで判断することを整理する方法もあります。

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まえやまだ純商店 前山田純

この記事を書いた人

前山田 純 まえやまだ純商店

2011年から医療機関の開業・経営支援に従事。院長が一人では整理しきれない経営上の悩みについて、現在の状況やこれまでの経緯、論点、選択肢を整理し、自院として判断しやすい状態づくりを支援しています。新しい施策を導入することを前提とせず、今ある人員・業務・仕組み・地域との接点を確認しながら、必要な対応を考えることを大切にしています。

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