開業して数ヶ月、思ったより患者さんが来ないと感じたとき院長と整理した3つのこと【相談事例】
開業して数ヶ月ほど経った頃、院長からこんな相談をいただくことがあります。
「思ったより患者さんが来ないんです。」
開業前には診療圏調査を行い、事業計画を立て、ある程度の患者数を想定して開業することが多いと思います。
しかし実際に診療が始まると、その想定通りに患者数が伸びないこともあります。
- 1日30人前後で止まっている
- 新患が思ったより増えない
- 売上が事業計画より少ない
特に院長が気にされていたのは、
「新患が増えていない気がする」
という点でした。
そして院長はこう言われました。
「開業して数ヶ月だと、こんなものなんでしょうか。」
こうした状況になると、院長の頭の中ではさまざまな考えが浮かびます。
広告を出した方がいいのか。
ホームページを作り直した方がいいのか。
診療時間を増やした方がいいのか。
ただ実際にお話を聞いていると、院長の本音は別のところにあることが多いです。
「このままで経営は大丈夫なのでしょうか。」
患者数そのものというよりも、将来への不安を感じているケースも少なくありません。
今回は、開業して数ヶ月ほど経った院長と、患者数について整理した事例をご紹介します。
院長の相談内容|思ったより患者さんが来ない不安
患者数が想定より少ないと感じると、すぐに何かを変えた方がいいのではないかと思うのは自然なことだと思います。
特に開業初期は、日々の診療を回しながら、スタッフ体制や経理、地域での認知など、さまざまなことを同時に考えなければなりません。
その中で患者数が思ったほど伸びないと、不安が大きくなりやすい時期でもあります。
ただ、この段階ではまだ「患者数が少ない」という事実だけで判断しきれないことも多いです。
想定が少し高かったのか、地域とのズレがあるのか、そもそも診たい患者層と来院している患者層に違いがあるのか。
まずはその前提を整理する必要があります。
思ったより患者さんが来ないと感じたとき、院長が最初に考えること
患者数が想定より少ないと感じたとき、多くの院長が最初に考えるのは「集患」です。
- 広告を増やす
- ホームページを作り直す
- 診療時間を増やす
- 新しい診療メニューを増やす
どれも間違いではありません。
実際に、それが必要な場合もあります。
ただ、相談の場ではすぐに何か具体的な行動に移すことを考えるのではなく、まず状況を整理することから始めることが多いです。
制度の理解だけでは判断は決まりません。
自院としてどう考えるかの整理が必要になります。
患者数の問題は、必ずしも集患の問題とは限らないからです。
表面上は「患者さんが来ない」という悩みに見えていても、背景には診療圏、役割、患者層のズレがあることもあります。
相談の中で院長と整理した3つのこと
今回の相談では、院長と次の3つを整理しました。
①診療圏
まず確認したのは、この地域にどれくらいの患者さんがいるのかという点です。
開業前に診療圏調査をしていても、実際に診療を始めると想定との違いが見えてくることがあります。
診療圏調査の考え方については、こちらの記事でも整理しています。
診療圏調査シリーズ|まとめページ
また、電子カルテによっては患者さんの住所や郵便番号などから、どの地域から来院しているかを確認できる機能があります。
実際のレセプトデータをもとに、
「どの地域から患者さんが来ているのか」
を確認してみると、想定していた診療圏との違いが見えてくることもあります。
地域の患者数と医療機関の数の関係、いわゆる需要と供給のバランスによっても、患者数の見え方は変わることがあります。
②クリニックの役割
次に整理したのは、このクリニックが地域の中でどのような役割を担うのかという点です。
- 幅広く診る地域のかかりつけ医なのか
- 特定の疾患に強みを持つクリニックなのか
- 生活習慣病を継続的に診るクリニックなのか
院長の考えと、地域から見た役割が必ずしも一致していないこともあります。
この部分が整理されると、患者数の見え方も少し変わることがあります。
何を強みにするのか、どのような医療を地域で続けていきたいのかが見えてくると、単純に患者数だけで判断しにくくなることもあります。
③患者層
もう一つ整理したのは、どのような患者さんに来てもらいたいのかという点です。
そして実際に来院している患者さんが、院長のイメージとどの程度重なっているのかも確認しました。
この2つが大きくずれていると、患者数が少ないと感じる理由が見えてくることがあります。
例えば、本来は生活習慣病を継続的に診るクリニックにしたいと考えていたのに、実際には一時的な受診が中心になっている場合、患者数の見え方や売上の感じ方も変わってきます。
整理していく中で院長が気づいたこと
こうした整理を進める中で、院長の中でいくつかの気づきが生まれました。
患者数は「対策で増やすもの」というよりも、診療圏やクリニックの役割、患者層などの構造の結果として現れることもあります。
患者数が少ないというよりも、
「想定していた患者層と実際の患者層が少し違っていた」
という点です。
また院長は、患者数だけでなく売上の見え方についても考えるようになりました。
クリニック経営では
売上 − 固定費 − 税金
が最終的な手取りになります。
そのため、
- 損益分岐点
- 損益分岐点+生活費
といった目安を整理してみると、患者数の見え方が変わることもあります。
さらに、院長自身が
「どのようなクリニックを作りたいのか」
をまだ十分に言葉にできていなかったことにも気づかれました。
こうした整理をすると、
- この地域でどんな役割を担いたいのか
- どのような患者さんに来てもらいたいのか
- そのために今の診療体制は合っているのか
といった問いが自然と出てきます。
その上で、広告やホームページをどうするかを考えると、判断の視点も少し変わることがあります。
最後に|思ったより患者さんが来ないと感じたときに考えたいこと
患者数が思ったより少ないと感じると、すぐに何か具体的な行動に移したくなるかもしれません。
ただ、クリニック経営には一つの正解があるわけではありません。
地域の状況や診療内容、院長の考え方によって、答えはそれぞれ違います。
だからこそ、まずは状況を整理することが大切だと感じることがあります。
もし今、患者数について悩んでいるとしたら、次のような問いを一度考えてみてもよいかもしれません。
- この地域で自分のクリニックはどんな役割を担いたいのか
- どのような患者さんに来てもらいたいのか
- そのために今の体制は合っているのか
経営に正解はありません。
院長ごとに、それぞれの「納得解」があるのではないかと思います。
患者数の見え方は、診療圏の考え方によっても変わることがあります。
診療圏調査の読み方や整理の進め方については、こちらのまとめページでも整理しています。
一人で整理しきれないときは、誰かと話してみることで見えてくることもあるかもしれません。
クリニック経営について相談するとき、事務長代行・医療コンサル・税理士など、さまざまな選択肢があります。
それぞれの役割の違いと「整理」という支援の立ち位置については、こちらの記事でも整理しています。
クリニック経営の相談は誰が担うのか──事務長代行・医療コンサルとの違いと判断整理という支援の立ち位置
クリニック経営で迷いが重なってきた院長へ
状況を整理して、次の一手を考える伴走を行っています
患者数、スタッフ、制度対応、役割分担。
クリニック経営では、どれも大事だと分かっていても、何から整理すればよいか分からなくなることがあります。
まえやまだ純商店では、そうした経営の迷いを整理し、院長が自院としての優先順位と次の一手を考えるための伴走を行っています。
実際の相談内容を知りたい方へ
クリニック経営では、患者数・採用・制度対応など、複数の論点が重なって判断が難しくなることがあります。
院長と整理してきた実際の相談事例もまとめています。
こんな状況の院長から、ご相談をいただくことが多いです
- 患者数や売上の不安があるが、何から見直すべきか分からない
- 採用・定着・制度対応など、複数の論点が重なっている
- 専門家の意見は聞いたが、最後の優先順位だけが決めきれない
- 院長が抱え込み気味で、任せ方・外注・段取りを整理したい
まずは事前ミーティング(15分)で、いまの状況を伺い、この整理の進め方が合いそうかを確認します。
※売り込みは行いません。合わないと感じた場合は、その時点で終了で構いません。
※相談内容が整理されていなくても問題ありません。