2026年診療報酬改定|精神科・心療内科クリニックの通院精神療法・心理支援加算・外来運用を整理する
更新日:2026年9月15日
2026年度(令和8年度)の診療報酬改定では、精神科・心療内科の外来について、通院・在宅精神療法、心理支援加算、情報通信機器を用いた精神療法などが見直されました。
この記事では、精神科・心療内科クリニックに関係する主な変更点を制度面から整理します。そのうえで、制度上の要件を確認したあとに、院内運用として確認したい点も分けて整理します。
※本記事は厚生労働省の令和8年度診療報酬改定資料等をもとに整理しています。実際の算定・届出に当たっては、告示、通知、疑義解釈、地方厚生局の最新情報をご確認ください。
参考: 厚生労働省|令和8年度診療報酬改定の概要 11.重点的な対応が求められる分野(精神医療)
この記事でわかること
- 2026年改定で精神科・心療内科外来の何が変わったのか
- 通院・在宅精神療法の初診時の点数と、指定医・非指定医の取扱い
- 心理支援加算の点数、対象患者、算定回数、施設基準、届出
- 初診から情報通信機器を用いて精神療法を行う場合の主な要件
- 制度確認後に、院内運用として確認したいこと
2026年改定の主な変更点
| 項目 | 2026年改定の主な変更 | まず確認したいこと |
|---|---|---|
| 通院・在宅精神療法 | 指定医による初診30分以上60分未満を新たに評価。初診60分以上や非指定医の取扱いも見直し | 担当医、点数、施設基準、届出 |
| 心理支援加算 | 250点から280点へ引上げ。対象疾患を拡大し、実施者要件・施設基準を新設 | 対象患者、公認心理師の要件、施設基準、届出 |
| 情報通信機器を用いた精神療法 | 指針を踏まえ、一定の要件のもとで初診から行う精神療法を新たに評価 | 対象患者、医師の経験、地域との連携体制 |
1. 2026年改定で精神科外来の何が変わったのか
2026年改定では、精神科・心療内科の外来に関係する複数の評価が見直されました。
- 精神保健指定医が初診で30分以上行う通院・在宅精神療法を新たに評価
- 初診で60分以上行う通院・在宅精神療法の評価を見直し
- 非精神保健指定医による通院・在宅精神療法の取扱いを見直し
- 心理支援加算を250点から280点へ引き上げ、対象疾患や要件を見直し
- 一定の要件のもとで、初診から情報通信機器を用いて行う精神療法を新たに評価
個々の変更を見る際は、点数だけでなく、対象患者、担当する医師・公認心理師、施設基準、届出などをあわせて確認する必要があります。
2. 通院・在宅精神療法|指定医・非指定医の取扱い
2026年改定では、精神保健指定医が行う初診時の通院・在宅精神療法について、30分以上60分未満の区分が新たに評価され、60分以上の評価も見直されました。
2026年改定で初診時の評価はどう変わったのか
通院精神療法の初診時における主な点数は、次のように見直されています。在宅精神療法についても同様の見直しが行われています。
| 初診時の区分 | 改定前 | 2026年改定後 |
|---|---|---|
| 60分以上・精神保健指定医 | 600点 | 650点 |
| 60分以上・指定医以外 | 550点 | 550点 |
| 30分以上60分未満・精神保健指定医 | ― | 550点 |
このため、初診時の評価を確認する際は、診療時間だけでなく、担当医が精神保健指定医かどうかも確認する必要があります。
非指定医の場合は何を確認するのか
2026年改定では、非精神保健指定医による通院・在宅精神療法についても評価が見直されました。
一定の施設基準に適合して地方厚生局長等へ届け出た保険医療機関以外で、非精神保健指定医が通院・在宅精神療法を行う場合は、所定点数の100分の60に相当する点数を算定する取扱いが示されています。
そのため、非指定医による診療については、少なくとも次の点を確認します。
- 診療を担当する医師が精神保健指定医か、非指定医か
- 該当する施設基準を満たしているか
- 必要な届出を行っているか
- 処方内容による算定制限に該当しないか
- 心理支援加算など、併算定できない項目に該当しないか
※非指定医に関する施設基準には複数の要件があります。実際の算定可否は、施設基準通知や地方厚生局の届出案内等をご確認ください。
制度上の取扱いを確認したうえで、指定医・非指定医の診療体制や予約枠、必要な院内手続きをどのように運用するかは、自院の現在の体制を踏まえて整理することになります。
3. 心理支援加算|点数・対象患者・施設基準
心理支援加算は、心理に関する支援を要する対象患者に対して、精神科を担当する医師の指示を受けた公認心理師が必要な心理支援を行った場合に評価される加算です。
2026年改定では、250点から280点へ引き上げられるとともに、対象疾患が拡大され、実施する公認心理師の要件と施設基準が新たに設けられました。
心理支援加算の主な算定要件
| 点数 | 280点 |
|---|---|
| 2026年改定 | 250点から280点へ引上げ |
| 算定回数 | 月2回まで |
| 算定期間 | 初回算定日の属する月から起算して2年を限度 |
| 対象患者 | 心理に関する支援を要する神経症性障害、ストレス関連障害及び身体表現性障害の患者 |
| 実施方法 | 精神科を担当する医師の指示を受けた公認心理師が、対面による心理支援を30分以上実施 |
| 医師の関与 | 心理支援が必要とされる理由等を診療録に記載 |
| 主な施設基準 | 保険医療機関内に専任の常勤の精神保健指定医を1名以上配置 |
| 届出 | 施設基準に適合したうえで、地方厚生局長等への届出が必要 |
対象患者・対象疾患はどう変わったのか
改定前は「心的外傷に起因する症状を有する患者」が対象とされていました。
2026年改定では、心理に関する支援を要する神経症性障害、ストレス関連障害及び身体表現性障害の患者へ対象が拡大されています。
ただし、対象となる病名が付いていることだけで算定できるわけではありません。心理支援が医学的に必要かどうかは、患者ごとの状態を踏まえて医師が判断する領域です。
公認心理師にも経験要件がある
2026年改定では、心理支援を実施する公認心理師についても要件が設けられました。
精神科を標榜する保険医療機関において、週1日以上常態として勤務し、かつ、所定労働時間が週22時間以上となる勤務を1年以上行った経験のある公認心理師であることが求められています。
他の精神科を標榜する保険医療機関でも勤務している場合は、それらの勤務を合算する取扱いが示されています。
病名だけでは算定可否は決まらない
心理支援加算の算定を確認する場合は、病名だけでなく、次の要件を一体として確認する必要があります。
- 制度上の対象患者に該当するか
- 心理支援が必要であると医師が判断しているか
- 要件を満たす公認心理師が実施するか
- 対面で30分以上の心理支援を行っているか
- 必要な診療録への記載があるか
- 施設基準を満たしているか
- 必要な届出を行っているか
- 算定回数・算定期間の範囲内か
算定要件を満たしたうえで実際に院内で運用する場合は、予約枠、医師と公認心理師の情報共有、記録方法、受付・会計を含む院内フローなども確認する必要があります。
新たな採用やシステム導入を最初から前提にするのではなく、現在の公認心理師の勤務状況や既存の予約・記録方法で対応できるかを確認することも一つの視点です。
4. 情報通信機器を用いた精神療法|主な要件
2026年改定では、「情報通信機器を用いた精神療法の適切な実施に関する指針」の策定を踏まえ、指針に沿って初診から行われる精神療法について新たな評価が設けられました。
ただし、精神科のすべての初診患者について、一般的にオンラインのみで診療できるようになったという意味ではありません。
2026年改定で初診からの精神療法が新たに評価された
初診料を算定する初診の日に情報通信機器を用いて通院精神療法を行う場合、精神保健指定医による60分以上は566点、30分以上は479点とされています。
これは対面で行う通院・在宅精神療法の初診時の点数とは異なるため、混同しないよう注意が必要です。
初診から行う場合の主な要件
初診から情報通信機器を用いて精神療法を行う場合には、主に次のような要件が示されています。
- 連携する精神保健福祉センター、保健所、市区町村機関等が訪問指導等を行っている未治療者、治療中断者、ひきこもりの者等に対して行うこと
- 患者本人に受診希望があること
- オンライン精神療法を10症例以上経験した医師が診察すること
- 診察時に、患者側に地域機関で訪問指導等を行っている医師、保健師、精神保健福祉士、作業療法士、公認心理師等の専門職がいること
- 患者について十分な情報収集と情報共有が可能であること
実際に情報通信機器を用いた精神療法を行うかどうかは、制度要件だけで決まるものではありません。患者ごとの診療方法については、医師が医学的に判断する必要があります。
院内運用としては、対象となる診療の予約方法、本人確認、情報共有、対面診療が必要になった場合の対応、緊急時・時間外の連携体制などを確認しておく必要があります。
5. 制度確認後に、自院で整理したいこと
ここまでの制度内容を確認すると、自院が関係する制度や、算定に必要な要件が見えてきます。
一方で、制度上算定できることと、実際に自院で算定・運用することは同じではありません。
| テーマ | 制度上確認すること | 院内運用として確認すること |
|---|---|---|
| 通院・在宅精神療法 | 点数、医師要件、施設基準、届出 | 担当体制、予約枠、必要な院内手続き |
| 心理支援加算 | 対象患者、実施者要件、実施時間、施設基準、届出 | 予約枠、情報共有、記録、受付・会計の流れ |
| オンライン精神療法 | 対象患者、医師要件、地域連携等の算定要件 | 予約、本人確認、情報共有、緊急時の連絡体制 |
たとえば心理支援加算であれば、制度上の要件を満たせるかを確認したあと、現在の公認心理師の勤務状況、予約枠、医師との情報共有、記録方法などを確認します。
その結果、既存の体制で対応できる場合もあれば、役割分担や業務の流れを見直す必要がある場合もあります。新しい採用やシステム導入を最初から前提にする必要はありません。
自院で引き受ける患者の範囲や、他の医療機関との役割分担を考える場合は、 心療内科は、どこまでを引き受けるのか もあわせてご覧ください。
6. よくある疑問
心理支援加算は何点ですか?
2026年改定では250点から280点へ引き上げられました。月2回まで、初回算定日の属する月から起算して2年を限度として算定します。
心理支援加算の算定には届出が必要ですか?
はい。所定の施設基準に適合したうえで、地方厚生局長等への届出が必要です。実際の届出では、管轄する地方厚生局の最新の様式・案内をご確認ください。
心理支援加算は病名があれば算定できますか?
病名だけでは判断できません。制度上の対象患者に該当することに加え、医師の判断、公認心理師の要件、30分以上の対面支援、診療録への記載、施設基準、届出、算定回数・期間などを確認する必要があります。
心理支援加算を行う公認心理師に経験要件はありますか?
あります。精神科を標榜する保険医療機関において、週1日以上常態として勤務し、かつ所定労働時間が週22時間以上となる勤務を1年以上行った経験などが求められています。
非指定医が通院・在宅精神療法を行うと、必ず100分の60になりますか?
一律ではありません。一定の施設基準に適合して地方厚生局長等へ届け出た医療機関かどうかなどによって取扱いが異なります。担当医だけでなく、施設基準と届出状況を確認する必要があります。
精神科の初診をオンラインで行えるようになったのですか?
すべての初診患者が対象ではありません。地域機関が支援している未治療者・治療中断者等であること、患者側に支援専門職がいること、一定の経験を有する医師が診察することなど、複数の要件が示されています。
7. まとめ|制度要件と自院の運用を分けて確認する
- 通院・在宅精神療法では、指定医による初診30分以上60分未満の評価が新設され、60分以上や非指定医の取扱いも見直された
- 心理支援加算は250点から280点となり、対象疾患、実施者要件、施設基準が見直された
- 心理支援加算では、対象患者、公認心理師の要件、実施時間、施設基準、届出などを確認する
- 一定の要件のもとで、初診から情報通信機器を用いて行う精神療法が新たに評価された
- 制度上算定できることと、実際に自院で算定・運用することは分けて考える
まずは、自院に関係する制度上の点数、算定要件、施設基準、届出を確認することが出発点です。
そのうえで実際に算定・運用する場合は、現在の医師・スタッフの体制、予約や記録の方法、受付・会計を含む既存業務への影響などを確認します。現在の体制で対応できること、新たに必要になることを分けて考えると、自院として判断しやすくなります。
制度を確認したあとの考え方を整理したい方へ
制度内容は分かったものの、現在のスタッフ体制や既存の業務・システムとの関係など、自院でどう対応するか判断に迷うこともあります。院長が経営や運用について判断に迷いやすい場面を、Q&A形式で整理しています。
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