まえやまだ純商店

クリニック開業・経営コラム

2026年診療報酬改定|精神科・心療内科クリニックの通院精神療法・心理支援加算・外来運用を整理する

更新日:2026年5月27日

2026年度(令和8年度)の診療報酬改定では、精神科・心療内科の外来について、通院・在宅精神療法、心理支援加算、情報通信機器を用いた精神療法などが見直されました。

この記事では、精神科・心療内科クリニックに関係する主な変更点を制度面から整理します。そのうえで、制度を確認したあとに残る、初診体制、心理職との役割分担、オンライン診療の対象患者など、自院で考える必要がある論点も確認します。

※本記事は厚生労働省の改定概要資料をもとに整理しています。実際の算定・届出では、告示、通知、疑義解釈、地方厚生局の最新案内をご確認ください。

参考:厚生労働省|令和8年度診療報酬改定の概要 11.重点的な対応が求められる分野(精神医療)

この記事でわかること

  • 精神科・心療内科外来の主な変更点
  • 通院・在宅精神療法における指定医・非指定医の取扱い
  • 心理支援加算の点数、対象患者、実施者、施設基準
  • 初診からオンラインで精神療法を行う場合の主な要件
  • 制度確認後に、自院の運用として整理したいこと

先に結論

2026年改定では、点数だけでなく、誰が、どの患者を、どの体制で診療するかがこれまで以上に重視されています。

テーマ 制度上の主な確認事項 自院で考えること
通院・在宅精神療法 初診時の評価、医師・施設基準、届出 初診を誰が担当するか
心理支援加算 対象患者、実施者、時間、施設基準 対象患者と心理職の役割
オンライン精神療法 対象患者、経験、地域連携 対面へ戻す基準と緊急時対応

1. 2026年改定で精神科外来の何が変わったのか

2026年改定では、精神科・心療内科の外来について、初診時の診療、精神保健指定医と非指定医の位置づけ、公認心理師による支援、オンラインで行う精神療法などが見直されました。

個別の点数だけでなく、改定全体からは次の方向が読み取れます。

  • 精神疾患の早期発見と初期診療を重視する
  • 診療を担当する医師と医療機関の体制を明確にする
  • 心理職による支援を医師の診療とつなげて評価する
  • オンライン診療では安全性と地域連携を重視する

したがって、改定対応では「算定できるか」だけでなく、自院がどの患者を、誰が、どの体制で診るのかまで確認する必要があります。

2. 通院・在宅精神療法|指定医・非指定医の取扱い

通院・在宅精神療法では、初診時の評価や、精神保健指定医・非指定医による診療の取扱いが見直されました。

初診時は、担当医と医療機関の体制を確認する

初診時の診療時間に応じた評価を確認する際は、時間だけでなく、診療を担当する医師が精神保健指定医かどうか、医療機関が必要な施設基準を満たしているかを確認する必要があります。

非指定医だから一律に同じ取扱いになるわけではない

非精神保健指定医が行う通院・在宅精神療法では、医療機関の施設基準や届出状況によって取扱いが異なります。

確認したいのは次の点です。

  • 担当医が精神保健指定医か、非指定医か
  • 該当する施設基準を満たしているか
  • 地方厚生局への届出を行っているか
  • 処方内容や他の加算との関係に制限がないか

制度上の取扱いを確認したあとも、初診を誰が担当するか、指定医と非指定医の診療枠をどう分けるか、対応が難しい患者をいつ紹介するかは、自院の体制に応じて決める必要があります。

3. 心理支援加算|点数・対象患者・施設基準

心理支援加算は、精神科を担当する医師の指示を受けた公認心理師が、対象患者に対して対面で心理支援を行った場合に評価する加算です。

心理支援加算の主な要件

点数 280点
算定回数 月2回まで
算定期間 初回算定日の属する月から2年を限度
対象患者 心理に関する支援を要する神経症性障害、ストレス関連障害、身体表現性障害の患者
実施方法 公認心理師が対面で30分以上実施
医師の関与 精神科を担当する医師の指示と診療録への記載が必要
主な施設基準 院内に専任の常勤の精神保健指定医を1名以上配置

公認心理師にも経験要件がある

実施する公認心理師には、精神科を標榜する保険医療機関で、所定の勤務日数・勤務時間を満たす勤務を1年以上行った経験が求められます。他の精神科医療機関での勤務を要件に従って合算できる場合もあります。

病名だけでは算定可否は決まらない

対象となる病名が付いていても、それだけで算定できるわけではありません。

  • 対象患者に該当するか
  • 医師が心理支援を必要と判断しているか
  • 経験要件を満たす公認心理師が実施するか
  • 対面で30分以上行っているか
  • 診療録への必要な記載があるか
  • 施設基準、回数、期間の要件を満たすか

制度要件を満たしても、どの患者を心理職につなぐか、支援後の報告をどう行うか、心理職の予約枠をどう管理するかは、院内運用として別に決める必要があります。

4. 情報通信機器を用いた精神療法|主な要件

2026年改定では、所定の指針を踏まえ、初診から情報通信機器を用いた精神療法を行う場合の評価と要件が見直されました。

ただし、すべての初診患者に一般的にオンラインのみで診療できるという意味ではありません。

初診から行う場合の主な確認事項

  • 地域機関が訪問指導等を行う未治療者、治療中断者、ひきこもりの者等であること
  • 患者本人に受診希望があること
  • 一定のオンライン精神療法の経験を持つ医師が診察すること
  • 患者側に地域機関の専門職が同席すること
  • 十分な情報収集と情報共有が可能であること
  • 診療所では、緊急時や時間外に対応できる連携体制を確認すること

制度上実施できる場合でも、対象患者、対面へ切り替える基準、向精神薬を処方する場合の確認方法、緊急時の連携先は自院で決める必要があります。

5. 制度確認後に、自院で整理したいこと

制度資料を確認すると、算定要件や施設基準を満たせるかは判断できます。しかし、次の内容は制度だけでは決まりません。

テーマ 制度で確認すること 自院で決めること
初診 点数、医師要件、施設基準 担当医、診療枠、受入範囲
心理支援 対象患者、実施者、記録 対象者の選定、役割分担
オンライン 対象、経験、連携要件 対象患者、対面への切替基準
紹介・連携 施設基準上の連携要件 自院で引き受ける範囲

制度要件を満たしていることと、無理なく続けられる運用になっていることは同じではありません。

自院で引き受ける患者の範囲や紹介の線引きを考える場合は、心療内科は、どこまでを引き受けるのかもあわせてご覧ください。

6. よくある疑問

心理支援加算は何点ですか?

280点で、月2回まで、初回算定日の属する月から2年を限度として算定します。

心理支援加算は病名があれば算定できますか?

病名だけでは判断できません。対象患者、医師の判断、公認心理師の経験、実施時間、記録、施設基準などを一体で確認します。

心理支援加算に施設基準はありますか?

あります。院内に専任の常勤の精神保健指定医を1名以上配置することなどが示されています。届出時は最新の施設基準通知と地方厚生局の案内をご確認ください。

精神科の初診をオンラインだけで行えますか?

すべての初診患者が対象ではありません。地域機関による支援、医師の経験、患者側の専門職の同席など、複数の要件が示されています。

7. まとめ|制度要件と自院の運用を分けて確認する

  • 通院・在宅精神療法では、初診時の評価と担当医・医療機関の体制を確認する
  • 非指定医の場合は、施設基準や届出状況も含めて取扱いを確認する
  • 心理支援加算は280点で、対象患者、実施者、時間、記録、施設基準の確認が必要
  • 初診からのオンライン精神療法には、対象患者や地域連携等の要件がある
  • 制度確認後に、初診体制、心理職の役割、患者の受入範囲を自院で決める

まずは算定要件と施設基準を確認し、そのうえで、現在の医師体制、スタッフの業務量、患者層、地域の連携先を踏まえて無理なく実施できるかを整理することが大切です。

参考:厚生労働省|令和8年度診療報酬改定の概要 11.重点的な対応が求められる分野(精神医療)

制度を確認したあとの考え方を整理したい方へ

制度要件を確認しても、初診体制、心理職との役割分担、対応する患者の範囲は、自院の状況によって答えが変わります。院長が判断に迷いやすい場面をQ&A形式で整理しています。

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まえやまだ純商店 前山田純

この記事を書いた人

前山田 純まえやまだ純商店

2011年から医療機関の開業・経営支援に従事。診療報酬改定や施設基準などの制度情報を確認したうえで、院長が一人では整理しきれない経営課題について、現状、論点、選択肢、優先順位を整理し、自院として判断しやすい状態づくりを支援しています。

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