開業スケジュールはどのくらい必要か?| 半年スケジュール型と長期準備型のリアル
                「半年でも間に合いますか?」という相談は珍しくありません。一方で、1~2年以上かけて準備する先生もいます。本稿は、半年スケジュール型と長期準備型を並べて、準備内容・リスク・成果の出やすさを整理します。
二つの型|半年スケジュール型と長期準備型
| 観点 | 半年スケジュール型 | 長期準備型 | 
|---|---|---|
| 開始~開業 | 目安:約6か月(テナント前提) | 目安:1~2年超(方針固め→準備) | 
| 優先順位 | 物件・内装・機器・電子カルテ・採用など実務の前倒し | ビジョン・診療方針・診療圏/需要検討・事業/人材/運営の設計 | 
| 意思決定の質 | 時間制約で選択肢が限定されやすい | 比較検討と修正がしやすく整合性が高まりやすい | 
| 採用・教育 | 募集~初期教育が駆け足になりがち | 募集要件の言語化→教育計画まで事前に準備可 | 
| リスク | 工程遅延・摩擦・初期運営の混乱が顕在化しやすい | 初期費用の先行投入はあるが、運営の安定度は高め | 
| 向いている状況 | 物件/資金/勤務調整など外部条件が揃っているとき | 地域性や専門性を活かし“らしさ”を設計したいとき | 
結論:半年でも可能。ただし意思決定の余白を確保できる長期準備型のほうが、開業後の運営安定度は高くなりやすい傾向です。
テナント開業の標準工程(融資決定後 6~8か月の目安)
- 設計・内装工事(レイアウト・導線・電気/給排水の確定)
 - 医療機器の選定・導入(納期・据付・保守)
 - 電子カルテ・オンライン問診・レセ周辺のセットアップ
 - 採用~初期研修(募集要件→面接→入職前オリエン)
 - 広報(HP・看板・内覧会)と行政手続き一式
 
この工程は融資決定後の話です。それ以前に、診療方針/診療圏/収支計画/人材設計を整えておくほど、実行段階がスムーズになります。
長期準備型で先に整える3点(整合性を高めるコア)
- ① 事業計画の整合性:診療方針(対象患者・提供価値)が、配置人員・機器・時間割・価格/点数に反映されているか。
 - ② 人材計画の具体性:診療プロセスから逆算した募集要件・教育段取り・評価基準を事前に作る。
 - ③ 運営の“型”:予約枠設計、導線、説明書式、請求チェックなど、毎日の流れを先に決めておく。
 
ポイント:数値(患者数/単価/人件費)と現場運用(導線/業務分担/説明)を同じ表で管理すると、齟齬にすぐ気づけます。
今日からできるミニステップ(合計60分)
- ビジョン1行(15分):「誰に・何を・どう届けるか」を1行で言語化。
 - 運営の骨子(25分):診療日/時間・予約枠・スタッフ配置の初期案を箇条書き。
 - 数値テンプレ(20分):月次の「患者数・単価・人件費・外注費」を記録する共通フォーマットを用意。
 
完璧より、まず形にして回すことが近道です。
頭の中の“もやもや”を整理し、次の一歩を見つけたいときに
開業準備で生まれる「言葉にしづらい違和感」を、一緒に言葉にしていきます。
初回整理セッションでは、半年スケジュール型/長期準備型のどちらが適するかを含め、納得感のある計画に整えます。
即答よりも、「腑に落ちる」時間を大切にしています。まずは話すことから、整理がはじまります。
▶ 「即答より、納得を。」──まえやまだ純商店の考え方はこちら