クリニックでスタッフが辞めるとき、院長が整理しておきたいこと【院長の経営相談Q&A】
クリニックでスタッフから退職の申し出があると、院長は「何が原因だったのか」と考えざるを得ません。
給与なのか。人間関係なのか。業務量なのか。医院の雰囲気なのか。
ただ、スタッフが辞める理由は一つとは限りません。退職という出来事を、誰かを責める材料ではなく、次の体制を考えるための材料として整理することが大切です。
この記事で整理すること
- 退職理由を一つに決めつけない
- 「誰が悪いか」ではなく、何が起きていたかを見る
- 役割・業務・働き方のズレを整理する
- 退職を次の採用や定着につなげる材料にする
スタッフが辞める理由は一つではない
クリニックでスタッフが辞める理由としては、さまざまなものがあります。
- 家庭の事情やライフステージの変化
- 給与や勤務条件
- 人間関係
- 業務量や忙しさ
- 役割や働き方の認識のズレ
もちろん、退職には本人側の事情もあります。
一方で、同じような退職が続いている場合は、個別の事情だけでなく、クリニックの体制や業務の前提も見直しておきたいところです。
「人間関係」と見える出来事の背景に、役割の曖昧さ、業務負担の偏り、方針共有の不足があることもあります。
退職理由を原因探しだけで終わらせない
退職が起きると、原因をはっきりさせたくなります。
ただ、退職理由を一つに決めつけると、次に見直すべきことが見えにくくなる場合があります。
大切なのは、退職理由を「評価」することではなく、今後の体制を考えるための材料として整理することです。
退職理由を整理するときの問い
- 業務量や役割の偏りはなかったか
- 「どこまでが誰の役割か」が曖昧になっていなかったか
- 院長が大事にしている方針は、現場に伝わっていたか
- 同じような理由が繰り返されていないか
- 次に採用する人に、どのように説明すべきか
このように整理すると、退職を単なる出来事で終わらせず、次の採用や定着に向けた見直しにつなげやすくなります。
退職が起きたときに整理したい3つの視点
スタッフの退職が起きたときは、次の3つを分けて考えると整理しやすくなります。
1.役割|誰が何を担うのか
クリニックは小さな組織であるため、役割の境界が曖昧になりやすい面があります。
- 看護師がどこまで患者説明を担うのか
- 医療事務がどこまで電話対応や書類対応を担うのか
- イレギュラー対応を誰が判断するのか
- 新人教育を誰がどこまで担うのか
役割が曖昧なままだと、真面目なスタッフほど仕事を抱えやすくなります。
その状態が続くと、本人の努力だけでは続けにくくなることがあります。
2.業務|何が増えていて、どこに偏っているのか
近年、クリニックの業務は増えています。
患者説明、記録、制度対応、受付対応、電話対応、システム運用など、以前よりも現場で求められることが増えている医院も少なくありません。
業務が増えたときに、どこで受け止めるのかが整理されていないと、特定のスタッフに負担が偏ります。
その結果、退職が起きたあとも、また同じ人に負担が集中し、次の離職につながることがあります。
3.働き方|医院の前提とスタッフの希望がずれていないか
スタッフが求める働き方と、クリニックが求める役割がずれている場合もあります。
勤務時間、業務範囲、忙しさ、患者対応の考え方など、入職前に伝わっていた内容と実際の働き方に差があると、早期退職につながることがあります。
ここで大切なのは、どちらが正しいかを決めることではありません。
医院として何を求めているのか。スタッフにどこまで担ってほしいのか。どのような働き方が現実的なのか。
その前提を整理することです。
退職後に見直したいこと
- 求人票や面接で伝えていた内容と、実際の働き方にズレはなかったか
- 役割や業務範囲を、入職時にどこまで共有できていたか
- 院長の方針や優先順位が、現場に伝わる言葉になっていたか
- 次に採用する人へ、何を事前に伝える必要があるか
次の採用・定着につなげるために
スタッフの退職は、院長にとって精神的にも実務的にも負担が大きい出来事です。
ただ、その出来事を一つずつ整理することで、次に見直すべきことが見えてくる場合があります。
たとえば、次のような点です。
- 求人票に書くべき業務内容
- 面接で確認すべき働き方の前提
- 入職後に説明しておきたい役割
- スタッフに負担が偏らない業務体制
- 院長がどこまで判断を引き受けるのか
退職を避けられなかったこと自体を責める必要はありません。
大切なのは、退職をきっかけに、次の採用や定着に向けて何を整えるかを考えることです。
スタッフの退職を、原因探しだけで終わらせないために
退職が起きたときは、誰が悪かったのかを決めるよりも、役割、業務、働き方の前提を整理することが必要になる場合があります。
判断整理では、正解や結論を代わりに出すのではなく、いま何が重くなっているのか、次に何を見直す必要があるのかを一緒に整理します。
※採用代行や求人作成代行ではなく、判断の前提を整理するための時間です。