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クリニック開業・経営コラム

クリニックでスタッフが辞める理由とは?院長は何を見直すべきか 役割と働き方の齟齬から整理する離職問題【経営相談Q&A】

Q:クリニックでスタッフが辞める理由とは?院長は何を見直すべきでしょうか。

スタッフの退職が起きると、院長は「何が原因だったのか」と考えることが多いかもしれません。
給与が低かったのか。人間関係が悪かったのか。業務が忙しすぎたのか。

ただ、スタッフの退職は一つの理由だけで起こるものではありません
このブログでは、クリニックの離職問題を「クリニックが求めている役割」と「スタッフが求めている働き方」の齟齬という視点から整理します。

※本記事は「誰が悪いか」を断定する記事ではありません。退職という出来事を、次の組織づくりにつなげるための「整理」の記事です。

クリニックでスタッフが辞める理由は一つではない

クリニックでスタッフが退職する理由としては、さまざまなものが挙げられます。

  • 人間関係
  • 給与・待遇
  • 業務量・忙しさ
  • 家庭事情・ライフイベント

特に医療機関では、「人間関係」が理由として語られることも少なくありません。
ただし実際には、これらが単独で存在するというより、複数の要因が重なっていることが多い印象です。

たとえば「人間関係」に見える出来事でも、背景に役割の認識のズレ業務負担の偏り方針共有の不足があることがあります。
そのため、離職を「原因ひとつ」で説明せず、組織の構造として整理する視点が役立ちます。

クリニックでは役割と働き方の齟齬が起きやすい

クリニックは小さな組織であることが多く、役割が曖昧になりやすい特徴があります。例えば、

  • 看護師が受付業務を手伝う
  • 医療事務が診療補助を行う
  • 院長がすべての判断を抱え込む

もちろん、柔軟に助け合うこと自体は自然です。
ただ、役割の整理が十分でない状態が続くと、スタッフごとに「自分はどこまでやるのか」の認識がズレていきます。

その結果として、クリニックが求めている役割スタッフが求めている働き方の間に齟齬が生まれ、積み重なって退職につながることがあります。

スタッフが辞めたとき院長が最初に整理すべきこと

退職の申し出があったとき、院長は原因を探したくなります。
しかし最初に必要なのは、原因探しではなく状況の整理です。

最初に整理する問い

  • 何が「負担」になっていた可能性があるか(量・質・心理)
  • 役割の境界が曖昧だった部分はどこか
  • 「何のために/どこまでやるのか」が共有されていたか
  • 院長の方針(大切にしたいこと)は言語化されていたか

※ここでのポイントは「個人の性格」より、まず「組織の設計」を見直すことです。

院長が見直すべき3つのポイント

1)役割の整理:誰が何を担うのか

まず確認したいのは、クリニックの中で誰がどの役割を担うのかが整理されているかです。

  • 看護師の役割(診療補助・患者対応・チーム連携など)
  • 医療事務の役割(受付・会計・算定・書類など)
  • 院長の役割(方針決定・優先順位付け・判断の引き受け)

役割が明確でないと、スタッフは「ここまでやるべきなのか」と迷い続け、負担感につながります。

2)業務の整理:何が増えていて、どこに偏っているのか

近年、クリニックの業務は以前よりも増えています。

例えば、生活習慣病を扱う診療科では、

  • 生活習慣病管理料
  • 充実管理加算

といった制度により、患者さんへの説明や記録が求められる場面が増えています。
その結果、書類作成・説明・記録などの業務が増え、「誰が担うのか」が曖昧なままだと負担が偏りやすくなります。

ここでの見直しは「業務を減らす/増やす」だけではありません。
クリニックとして、業務をどこに寄せるのか(対人業務に寄せる/事務業務に寄せる)という設計の整理が重要です。

たとえば、患者さんとの関わり(説明・生活支援)を大切にするなら、対人業務に寄せる仕組みを考える必要が出てきます。
逆に、院内で全てを抱えず、外部・システムに任せられるものを見直すことも一つの方法です。

3)働き方の整理:スタッフは何を求めているのか

もう一つ重要なのは、スタッフが求める働き方(勤務時間、業務量、役割の境界など)と、クリニックが求める役割が一致しているかです。

ここがズレていると、採用できても「続けられない」状態になりやすくなります。
退職が起きたときは、採用条件の表現だけでなく、日々の運用(割り振り・判断・優先順位)が一致していたかも見直しポイントです。

院長とスタッフ、スタッフ同士の合意形成がズレを小さくする

「どこまでやるのか」「何のためにやるのか」が共有されていないと、役割と働き方の齟齬は大きくなります。
そのため、事前に合意形成をとることが重要です。

  • この業務は何のために行うのか
  • どこまでをスタッフの役割とするのか(境界線)
  • クリニックとして、どんな働き方・優先順位を大切にするのか

合意形成の方法としては、たとえば次のような場を持つことが考えられます。

  • 定期ミーティング(方針共有、業務の優先順位、詰まりの棚卸し)
  • 1on1ミーティング(本人の負担感、迷い、役割認識のズレを早期に把握)

※「頻度」よりも「テーマ」が大切です。業務連絡だけで終わらず、役割・期待・優先順位を言語化する時間を確保します。

院長がどこまで経営を引き受けるのか

クリニックは小さな組織であるほど、院長の考え方や方針が組織全体に影響します。
そのため、役割と働き方を整理するうえでは、院長がどこまで経営を引き受けるのかという視点も欠かせません。

  • どのような役割をスタッフに求めるのか
  • どんな働き方を大切にするのか
  • クリニックとして何を優先するのか(患者対応/事務効率/説明の丁寧さ 等)

これらが曖昧なままだと、スタッフはそれぞれの価値観で判断し、組織の中に認識のズレが溜まっていきます。
スタッフの離職を「個人の問題」に閉じず、院長としてどんな組織を作ろうとしているのかを整理し直すことが、次の採用・定着にもつながります。

まとめ

クリニックでスタッフが辞める理由は一つではありません。
「人間関係」「待遇」といった表面的な言葉の背後に、役割・考え方・求めるものの齟齬があることもあります。

そのため、院長が見直すべきことは「誰が悪いか」ではなく、

  • 役割(誰が何を担うのか)
  • 業務(何が増え、どこに偏っているのか)
  • 働き方(スタッフが求める働き方と一致しているか)
  • 合意形成(何のために/どこまでやるのかを共有できているか)

という組織の設計の整理です。
退職という出来事をきっかけに、クリニックの役割や働き方を見直すことが、次の採用・定着につながることもあります。

院長の「整理」から、次の一手を一緒に考えませんか

スタッフの退職は、原因探しだけでは前に進みにくいことがあります。
「役割」「業務」「働き方」「合意形成」を、院長の状況に合わせて整理し、次の打ち手につなげるための対話の場をご用意しています。

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