開業後、患者数が少ないのは普通? クリニック経営で多くの院長が通る時期
クリニックを開業して数ヶ月。
思っていたより患者数が伸びない。
そんな不安を感じている院長は、少なくありません。
「このままで本当に大丈夫なのだろうか」
開業後、そう感じる瞬間があります。
特に多いのが、開業から3ヶ月ほど経った頃です。
開業前に行った診療圏調査や事業計画では、
「これくらいの患者数になるはず」と想定していたのに、
実際の来院数はそこまで届かない。
「診療圏調査と違うのではないか」
そう感じる院長もいます。
患者数が少ないと、
「うまくいっていないのではないか」と感じてしまうこともあるかもしれません。
ただ、患者数が少ないことが、そのまま失敗を意味するわけではありません。
地域の医療体制や、クリニックが担っている役割、診療内容などによって、
患者数の意味は大きく変わるからです。
この記事では、開業後に患者数が少ないと感じたとき、
どのような視点で状況を整理して考えていけばよいのかを、落ち着いて見ていきます。
開業後、患者数が少ないのは普通?
開業後の患者数の立ち上がり方は、クリニックごとに大きく異なります。
地域の医療体制や既存医療機関との関係、診療内容、地域の患者さんの受診行動など、
さまざまな要素が影響するためです。
そのため、
「この患者数なら問題ない」「この人数なら普通」
といった明確な基準を示すことは、実際には難しいことも少なくありません。
患者数だけを見て「うまくいっている」「うまくいっていない」と判断してしまうと、
本来見るべきものを見落としてしまうこともあります。
開業後、患者数が少ないと感じるのはいつ頃?
開業後、患者数が想定より少ないと感じるタイミングには、ある程度の共通点があります。
それが、開業から3ヶ月ほど経った頃です。
開業直後は、内覧会や地域の認知などもあり、比較的患者さんが来院することもあります。
また、開業準備の忙しさもあり、患者数を冷静に振り返る余裕がないことも少なくありません。
しかし数ヶ月が経つと、来院数の傾向が少しずつ見えてきます。
そのとき、開業前に行った診療圏調査や事業計画と比べて、
「思っていたより患者数が少ないのではないか」
と感じる院長もいます。
この開業後3ヶ月前後は、多くの院長が一度立ち止まって考える時期でもあります。
医師は数値で判断する職業
医師という職業は、日々の診療の中でも数値をもとに状況を判断する仕事です。
検査値やガイドライン、統計データなど、数値で比較できる基準があることで判断の拠り所になります。
また、ベンチマークとなる数値が示されると、人は安心しやすいものです。
ただ、クリニック経営では明確なベンチマークが存在しないことも多い点が、難しさでもあります。
地域や診療内容によって状況は大きく変わるため、単純な数値だけでは判断できないことも少なくありません。
患者数よりも先に整理したいこと
患者数が少ないと感じたとき、多くの院長はまず「患者数」に目を向けます。
ただ、その前に一度整理しておきたいことがあります。
私が院長に最初にお聞きするのは、次のような質問です。
「この医療機関は、地域にとってどんな役割を担っていますか。」
クリニックの患者数は、単純に人口だけで決まるわけではありません。
地域の医療体制や、既存の医療機関との役割分担、クリニックが担っている診療内容など、
さまざまな要素の影響を受けます。
例えば、
- 生活習慣病を中心に診るクリニックなのか
- 急性疾患の初期対応を担うクリニックなのか
- 特定の専門外来を担うクリニックなのか
- 地域のかかりつけとして幅広く診るクリニックなのか
役割によって、患者数の構造や立ち上がり方は変わります。
まず整理したいのは、この医療機関が地域の中でどんな役割を担っているのかという点です。
この役割が明確になると、患者数の意味も少し違った見え方をしてくることがあります。
開業前の事業計画と、開業後の事業計画は別物
開業前には、多くの院長が事業計画を作ります。
診療圏調査を行い、想定患者数や売上を試算しながら、資金計画を立てていきます。
銀行融資を受ける際にも、この事業計画は重要な資料になります。
ただ、実際に開業してみると、その計画通りに進むことは多くありません。
診療圏調査の数字と実際の患者数には差が出ることもあります。
また、地域の医療機関との関係や患者さんの受診行動など、開業して初めて見えてくることも少なくありません。
そのため、開業後は事業計画をもう一度整理することが大切になります。
例えば、次のような数字です。
- このクリニックの損益分岐点はどこか
- 損益分岐点に生活費を加えた売上はどこか
こうした数字を整理すると、現在の患者数がどの位置にあるのかも見えてきます。
開業前の事業計画は、あくまで仮説です。
開業後は、実際の地域や患者さんの動きを見ながら、計画を少しずつ現実に合わせていくことになります。
クリニック経営で多くの院長が通る時期
開業後、患者数が少ないと感じたとき、
「うまくいっていないのではないか」と不安になることもあります。
ただ、この時期は多くの院長が通る時間でもあります。
患者数が少ないと感じたとき、焦って結論を出す必要はありません。
一度立ち止まって、
この医療機関は地域にとってどんな役割を担っているのか。
その視点から整理してみることも、クリニック経営の大切な時間なのかもしれません。
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