経営判断で迷ったとき何から整理する? クリニック経営の判断を言語化するという方法
Q:経営判断で迷ったとき、何から整理すればよいのでしょうか?
開業準備やクリニック経営の相談の中で、院長からよく聞かれる質問のひとつです。
「この判断で良いのか分からない」「何から考えればいいか分からない」――そんな迷いは、決して珍しいものではありません。
A:まずは、頭の中にあることを紙に書き出して、言葉にしてみてください。
情報を集める前に、自分の考えや不安をいったん外に出すだけでも、思考が少し整うことがあります。
クリニック経営の判断には、明確な「正解」が用意されていないことが多いものです。
だからこそ迷いが生まれますし、迷うこと自体が悪いわけではありません。
※本記事は、特定の「答え」を提示するものではありません。
判断の前に、院長ご自身の考えを整理するための“入口”としてお読みください。
迷うときに起きているのは「情報不足」ではなく「未整理」かもしれません
経営判断で迷うとき、多くの院長はまず情報を探します。
もちろん情報収集は大切です。ただ、迷いが深いときほど、情報を増やしてもスッキリしないことがあります。
その状態は、情報が足りないというよりも、
頭の中に要素が同時に存在しすぎていて、整理が追いついていない状態かもしれません。
たとえば、頭の中で同時に起きていること
- やりたいこと(理想)がある
- 不安(資金・人・時間・患者数など)もある
- 選択肢が複数ある
- 誰かの助言も入ってくる
- 判断が遅れることへの焦りもある
この状態で「答え」を探しにいくと、情報が増えてさらに迷うこともあります。
だからこそ、いったん整理の工程を挟むことが有効になります。
最初にやること:紙に書いて、言葉にしてみる
まずおすすめしたいのは、すごく基礎的なことです。
紙に書いて、言葉にする。
これだけで、頭の中の“渋滞”が少し解けることがあります。
書き出す内容は、シンプルなもので構いません
たとえば、次のような項目で十分です。
- いま何に迷っているか(一文でOK)
- 選択肢(2〜3個でOK)
- 不安(数字になっていなくてもOK)
- 失いたくないもの(時間、スタッフ、診療の質、家族…など)
- いま優先したいこと(ひとつだけでもOK)
ポイントは「正しく書く」ことではなく、頭の中を外に出すことです。
書くことで、判断材料が「見える化」され、次に考えるべき順番が出てくることがあります。
書くことで見えてくるもの:判断の「軸」と「優先順位」
書き出してみると、意外と次のようなことが見えてきます。
- 迷いの中心がどこにあるのか(本当の論点)
- 不安の正体が何か(資金なのか、人なのか、時間なのか)
- 自分が守りたい価値(譲れない条件)
- 今すぐ決めるべきこと/まだ決めなくていいこと
経営判断の多くは、結局のところ「何を優先するか」の選択です。
優先順位が言葉になっていないと、判断はいつまでも重くなります。
その場で結論が出なくても、整理された状態になること自体が、次の判断の材料になることがあります。
次の一手:第三者に見てもらう(合致しても、合致しなくても)
紙に書いても、まだ整理が難しいことはあります。
その場合は、第三者に話してみることも選択肢になります。
第三者に話す価値は「答え」より「整理」にあります
話しているうちに、自分でも気づいていなかった前提や、言葉になっていなかった判断軸が浮かび上がることがあります。
- 考えが合致する部分が見つかる(=自分の軸の確認になる)
- 合致しない部分が出てくる(=自分の軸がより明確になる)
「合致しない意見」も、否定ではなく材料です。
違いが見えることで、院長ご自身の判断基準がはっきりすることがあります。
経営判断は、最後は院長が引き受けるもの
経営判断には、医療のようにガイドラインが用意されているわけではありません。
だからこそ、最終的には院長が引き受けることになります。
ただし、すべてを一人で抱える必要はありません。
書いて整理すること。対話して整理すること。
そのプロセス自体が、判断の重さを軽くしていくことがあります。
一人で整理しきれないときは、対話の場を使うのも一つの方法です
「何から話せばいいか分からない」「頭の中が渋滞している」
そんな状態からでも大丈夫です。言葉にしながら、院長の考えを一緒に整理していきます。