特定機能病院等紹介患者受入加算とは?届出・対象病院・算定要件と連携強化診療情報提供料との違い
2026年度診療報酬改定では、外来機能の分化と病診連携を進める観点から、特定機能病院等紹介患者受入加算が新設され、あわせて連携強化診療情報提供料も見直されました。
どちらも「病院とクリニックの連携」に関係する点数ですが、評価している場面は異なります。
- 特定機能病院等紹介患者受入加算:大病院等から逆紹介された患者を、診療所等が初診で受け入れる評価
- 連携強化診療情報提供料:病院とクリニックが継続的に情報連携することへの評価
本記事では、特定機能病院等紹介患者受入加算の届出・対象病院・算定要件を整理したうえで、連携強化診療情報提供料との違いもあわせて解説します。
また後半では、逆紹介患者を受け入れる際に、クリニック側で確認しておきたい院内フローや患者さんへの説明についても触れます。
※本記事について
本記事は、厚生労働省の令和8年度診療報酬改定に関する公表資料等をもとに、2026年5月時点で整理したものです。制度の運用は、その後の通知・疑義解釈・事務連絡等で補足される可能性があります。実務での最終確認は、最新資料・地方厚生局等の案内もあわせてご確認ください。
目次
- 1.特定機能病院等紹介患者受入加算とは
- 2.届出は必要か
- 3.対象となる病院
- 4.算定できる医療機関
- 5.連携強化診療情報提供料との違い
- 6.実務で確認しておきたいポイント
- 7.逆紹介で大切なのは、受け入れ後の流れを整えること
- 8.まとめ
1.特定機能病院等紹介患者受入加算とは
特定機能病院等紹介患者受入加算は、2026年度診療報酬改定で新設された加算です。
点数は60点です。
特定機能病院、地域医療支援病院、紹介受診重点医療機関、一定規模以上の病院などから紹介を受けた患者について、診療所または200床未満の病院が初診を行った場合に算定する加算です。
簡単に言えば、大病院等から地域の医療機関へ逆紹介された患者を、クリニック等が受け入れることを評価する点数です。
背景には、大病院への外来患者集中を緩和し、専門的な治療は病院、日常的な管理は地域のクリニック等が担うという、外来機能分化の考え方があります。
2.届出は必要か
特定機能病院等紹介患者受入加算については、厚生局への事前届出は不要と整理されています。
そのため、実務上は「施設基準の届出を出してから算定する」というよりも、紹介元の医療機関が対象に該当するか、初診として受け入れているかを確認することが重要になります。
実務上の確認ポイント
- 届出は必要か → 不要
- 算定できるタイミング → 対象病院等から紹介を受けて初診を行った場合
- 確認すべきこと → 紹介元医療機関が対象に該当するか
3.対象となる病院
特定機能病院等紹介患者受入加算で確認が必要なのは、紹介元となる病院が対象に該当するかどうかです。
対象となる主な医療機関は、次のように整理できます。
- 特定機能病院
- 地域医療支援病院
- 紹介受診重点医療機関
- 許可病床数400床以上の病院
ただし、地域医療支援病院、紹介受診重点医療機関、許可病床数400床以上の病院については、一般病床200床未満の病院は除かれる点に注意が必要です。
したがって、「200床以上の病院ならすべて対象」とは限りません。実際には、その病院が地域医療支援病院や紹介受診重点医療機関等に該当するかを確認する必要があります。
4.算定できる医療機関
特定機能病院等紹介患者受入加算を算定できるのは、診療所または許可病床数200床未満の病院です。
つまり、患者を紹介した大病院側が算定する点数ではなく、紹介を受けて初診を行ったクリニック等が算定する点数です。
算定イメージ
対象病院等 → 紹介状 → クリニックで初診
この場合、受け入れたクリニック側が60点を算定
この点は、連携強化診療情報提供料との違いを理解するうえでも重要です。
5.連携強化診療情報提供料との違い
特定機能病院等紹介患者受入加算とあわせて整理したいのが、連携強化診療情報提供料です。
連携強化診療情報提供料は、病院の専門医師と地域のかかりつけ医等が連携しながら、共同で継続的に治療管理を行うことを評価する点数です。
点数は150点で、患者1人につき、情報提供を行う医療機関ごとに3か月に1回算定できます。
| 項目 | 特定機能病院等紹介患者受入加算 | 連携強化診療情報提供料 |
|---|---|---|
| 点数 | 60点 | 150点 |
| 評価する場面 | 逆紹介患者の初診受け入れ | 継続的な情報連携 |
| 算定する側 | 紹介を受けて初診を行った診療所等 | 診療状況を文書で情報提供した医療機関 |
| 回数 | 初診時 | 3か月に1回 |
| 届出 | 不要 | 厚生局への事前届出は不要 |
連携強化診療情報提供料で特に重要なのは、紹介元・紹介先のどちらの情報提供でも算定可能という点です。
連携強化診療情報提供料の算定イメージ
- 紹介元(病院) → 紹介先(クリニック)へ診療状況を文書提供
この場合、病院側が算定 - 紹介元(クリニック) → 紹介先(病院)へ診療状況を文書提供
この場合、クリニック側が算定
つまり、特定機能病院等紹介患者受入加算は「受け入れた側の評価」、連携強化診療情報提供料は「情報提供した側の評価」と整理すると、実務上理解しやすくなります。
6.実務で確認しておきたいポイント
(1)対象病院リストを作成する
まずは、自院の近隣で対象になりそうな医療機関を整理しておくことが重要です。
地域医療支援病院、紹介受診重点医療機関、特定機能病院、400床以上病院などを確認し、受付や医事課で共有できる一覧にしておくと、算定漏れの防止につながります。
(2)受付で紹介元を確認する
受入加算は、紹介元医療機関が対象に該当するかどうかが重要です。
そのため、紹介状を持参した患者について、受付時に紹介元医療機関を確認するフローを組み込んでおくとよいでしょう。
(3)カルテ記載・文書保存を残す
受入加算では、対象病院等からの紹介を受けて初診を行ったことが確認できるようにしておく必要があります。
また、連携強化診療情報提供料では、診療状況を示す文書を提供したことが前提になります。口頭のみではなく、文書の控えや電子カルテ上の記録を残す運用が重要です。
(4)連携強化診療情報提供料との同月算定に注意する
連携強化診療情報提供料では、同一患者について、同一医療機関に対して診療情報提供料(I)を算定した月には、原則として別に算定できない点に注意が必要です。
紹介状を出した月なのか、継続的な情報提供を行った月なのかを、レセプト確認時に整理しておく必要があります。
(5)初診日の情報提供は原則対象外
連携強化診療情報提供料は、初診料を算定する日に行った情報提供については、原則として算定対象外とされています。
ただし、次回受診日の予約を行った場合など、例外的な整理もあります。実務では、通知・疑義解釈等を確認しながら判断する必要があります。
7.逆紹介で大切なのは、受け入れ後の流れを整えること
特定機能病院等紹介患者受入加算は、制度上は「対象病院等から紹介を受けて、診療所等が初診を行った場合」の評価です。
ただし、実際のクリニック運営では、加算を算定できるかどうかだけでなく、逆紹介された患者さんを自院でどのように受け入れ、継続して診ていくかを整理しておくことも重要です。
(1)患者さんに、自院が継続して診ることを伝える
病院から紹介状を持って来院された患者さんの中には、「今後も本当にクリニックで診てもらえるのか」「状態が変わったときはどうすればよいのか」と不安を感じる方もいます。
そのため、逆紹介患者を受け入れる際には、受付や診察室での説明も大切になります。
患者さんへの説明例
- 「これからは当院で継続して診ていきます」
- 「必要があれば、紹介元の病院とも連携します」
- 「状態が変わった場合には、改めて専門医療機関への紹介も検討します」
このような説明を院内で共有しておくことで、患者さんが安心して地域のクリニックで継続受診しやすくなります。
(2)紹介元医療機関との情報共有を丁寧に行う
逆紹介を受けた後は、紹介状を確認するだけでなく、必要に応じて診療経過や今後の方針を紹介元医療機関へ共有することも重要です。
紹介状への返信、診療経過の文書共有、患者さんへの丁寧な説明など、日々の積み重ねが地域連携の土台になります。
特に、継続管理が必要な患者さんでは、病院とクリニックのどちらが何を担うのかを整理しておくことで、患者さんにとっても医療機関にとっても、受診の流れが分かりやすくなります。
(3)受付・カルテ・レセプト確認まで含めて院内フローにする
逆紹介患者の受け入れは、医師の診察だけで完結するものではありません。
受付での紹介元確認、紹介状の取り扱い、電子カルテへの記載、必要な文書保存、レセプト確認など、いわゆるバックヤード業務も含めて整理しておく必要があります。
たとえば、次のような点を院内で確認しておくと、算定漏れや確認漏れを防ぎやすくなります。
- 紹介状を持参した患者さんを、受付でどのように確認するか
- 紹介元医療機関が対象病院等に該当するか、誰が確認するか
- カルテにはどのような記載を残すか
- 紹介状や返信文書の控えをどのように保存するか
- レセプト確認時に、どの項目をチェックするか
2026年度診療報酬改定は、単に新しい加算を確認するだけではなく、自院が地域の中でどのような役割を担うのかを改めて考えるきっかけにもなります。
患者さんへの説明、紹介元医療機関との情報共有、院内での受入体制の整理など、日々の運用の積み重ねが、地域連携を支える実務になります。
8.まとめ
特定機能病院等紹介患者受入加算は、2026年度診療報酬改定で新設された、大病院等からの逆紹介患者を地域の医療機関が受け入れることを評価する加算です。
一方で、連携強化診療情報提供料は、紹介後の継続的な情報連携を評価する点数です。
両者を整理すると、次のようになります。
- 受入加算:大病院等から紹介された患者を、クリニック等が初診で受け入れる評価
- 連携強化診療情報提供料:病院とクリニックが継続的に診療情報を共有する評価
今回の改定は、単に点数を取るかどうかだけではなく、地域の中で自院がどの患者を受け入れ、どの医療機関とどう連携するかを整理するきっかけにもなります。
算定要件を確認するだけでなく、対象病院リストの作成、受付での紹介元確認、患者さんへの説明、カルテ記載、レセプトチェックまで含めて、院内の運用として整理しておくことが大切です。
制度対応を、院内運用まで整理したいときに
特定機能病院等紹介患者受入加算や連携強化診療情報提供料は、要件を確認するだけでなく、自院の紹介・逆紹介の流れ、受付確認、患者さんへの説明、カルテ記載、レセプト確認まで含めて整理する必要があります。
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参考資料(出典)
※制度の運用は、その後の疑義解釈や事務連絡等で補足・変更される可能性があります。実務での最終確認は、最新の通知・疑義解釈・地方厚生局等の案内もあわせてご確認ください。