クリニック経営の相談は意味がある?院長の経営判断が難しい理由
A
クリニック経営では多くの判断が求められますが、
その判断には必ずしも正解があるとは限りません。
だからこそ、相談は「答えをもらうため」ではなく、
経営判断を整理するための対話として意味を持つことがあります。
① クリニック経営は判断の連続
クリニックを開業すると、院長はさまざまな判断に向き合うことになります。
例えば
- 医療機器への設備投資
- スタッフ採用
- 診療方針の方向性
- 集患や広報の考え方
- 制度や診療報酬改定への対応
こうした判断は、開業準備の段階から始まり、開業後も続いていきます。
診療においても日々判断は求められますが、
経営における判断はまた少し性質が異なります。
診療では、ガイドラインやエビデンス、経験の積み重ねが判断の支えになります。
一方で、経営の判断には、必ずしも明確な指針があるわけではありません。
そのため、多くの院長が
「この判断で本当に良いのだろうか」
という迷いを感じながら進んでいるのではないでしょうか。
② なぜクリニック経営の判断は難しいのか(正解がない・未来が読めない)
クリニック経営の判断が難しい理由のひとつは、正解がはっきりしないことにあります。
例えば
- この医療機器は導入した方がよいのか
- スタッフは今増やすべきなのか
- 診療の幅を広げるべきなのか
- 地域の中でどのような役割を担うべきなのか
こうした問いに対して、唯一の正解が存在するわけではありません。
もうひとつの理由は、未来が読めないことです。
医療制度は変化し続けますし、
地域の人口構造や患者ニーズも時間とともに変わっていきます。
今の判断が数年後にどのような結果につながるのかを、
完全に予測することはできません。
正解が見えにくく、未来も読めない。
その中で判断を求められる。
これが、クリニック経営の難しさなのかもしれません。
③ 専門家の助言だけでは決められない理由
クリニック経営では、さまざまな立場の人が関わります。
例えば
- 税理士
- 医療機器会社
- コンサルタント
- そして日々クリニックを支えてくれているスタッフ
それぞれの立場から、助言や意見をもらうこともあるでしょう。
ただ、ここで院長が感じることのひとつが
「意見が分かれる」という状況です。
ある人は設備投資を勧め、別の人は慎重に考えた方がよいと言う。
ある人は診療の幅を広げるべきだと言い、別の人は専門性を絞った方がよいと言う。
どちらもそれぞれの立場からの意見であり、どちらにも一理あります。
だからこそ院長は迷います。
そして時に、
「相談しても意味があるのだろうか」
そんな感覚を持つこともあるかもしれません。
④ 経営相談の本当の意味(答えではなく整理)
しかし、ここで少し視点を変えてみると、
経営相談の意味は違って見えてくることがあります。
相談とは、答えをもらう場所ではなく、
思考を整理するための対話と考えることもできます。
話していく中で
- 自分は何に迷っているのか
- 何を大切にしたいのか
- どこに違和感を感じているのか
そうしたことが少しずつ言葉になっていきます。
誰かに話すことで、頭の中で曖昧だった考えが整理されていく。
相談には、そうした役割があるのかもしれません。
必ずしも「答え」を得ることが目的ではなく、
自分の判断を整えるための時間。
そう考えると、相談の意味はまた違って見えてきます。
⑤ 院長が判断を引き受けるということ
最終的に、クリニック経営の判断を引き受けるのは院長です。
税理士、医療機器会社、コンサルタント。
そして日々クリニックを支えてくれているスタッフ。
多くの人が、それぞれの立場から助言や意見を伝えてくれます。
ただ、最終的な経営判断は、どうしても院長に委ねられます。
もちろん、私のような立場の人間も、
その判断を代わりに引き受けることはできません。
※これは「誰も頼れない」という話ではなく、
「頼りながらも、最後は自分で決める必要がある」という現実の整理です。
だからこそ、開業とは
「事業を引き受ける」ということ
なのかもしれません。
経営に正解があるとは限らないからこそ、
院長自身が納得できる判断を見つけていく。
相談とは、その判断を整えるための対話の時間なのかもしれません。
いま絡み合っている論点をほどき、優先順位と判断軸の土台を整えるためのセッションです。
答えを押しつけるのではなく、対話を通して「何をどう判断するか」を言葉にしていきます。