正解を急がず、 判断が詰まった論点を、静かにほどくために。 患者の視点も踏まえて、 クリニック開業・経営の「考える前提」を整える時間。

クリニック開業・経営コラム

クリニックHPがうまく伝わらない理由──PASTORで見直す5つのチェックポイント

対象:開業医/これから開業する方(HP新規作成・リニューアル検討中)

ホームページはある。制作会社にも依頼した。診療内容も、設備も、アクセスもきちんと載せている。

それでも、

  • 「思ったほど問い合わせが増えない」
  • 「アクセスはあるのに予約につながらない」

そんな感覚を持ったことはないでしょうか。

情報が足りないのでしょうか。デザインの問題でしょうか。

もちろんそれも一因かもしれません。しかし、もっと根本的な理由があります。

それは “情報の順番” です。

多くのクリニックHPは「O」から始まっている

セールスライティングの世界に、PASTORという型があります。

  • P:Problem(困りごと)
  • A:Amplify(放置したらどうなるか)
  • S:Story(事例・背景)
  • T:Transformation(変化)
  • O:Offer(提供内容)
  • R:Response(行動)

多くのクリニックHPは、いきなり「O」から始まっています。

  • 当院の診療内容
  • 医師紹介
  • 設備紹介
  • アクセス

どれも大切です。

しかし、患者さんの頭の中は、まだそこにいません。

患者はまだ「P」にいる

患者さんの思考はこうです。

「この症状、放っておいていいのだろうか」

「どこに行けばいいのかわからない」

「いきなり受診するのは少し不安」

つまり、まだ Problem の段階です。

そこにいきなり「当院では◯◯診療を行っています」と提示しても、心は動きにくい。

まず必要なのは、「あなたのその悩みに向き合っています」というメッセージです。

PASTORで見直す5つのチェックポイント

では、実務的にどう見直せばいいのでしょうか。以下の5点を確認してみてください。

① トップページの冒頭に「困りごと」が書いてあるか

× 「地域に根ざした内科クリニックです」

「健診で異常を指摘されたまま、受診を迷っている方へ」

最初に書くべきは“自己紹介”ではなく、“相手の状況”です。

② 診療内容より先に「症状・状態」が提示されているか

診療科目の説明の前に、「こんな症状でお困りではありませんか?」という導入があるかどうか。

ここが抜けていると、読み手は自分ごととして読み進めにくくなります。

③ 放置した場合のリスクが、煽らずに示されているか

Amplifyは不安を過度に煽ることではありません。

「早めに相談することで、負担を軽くできる場合があります」──この程度で十分です。

冷静に未来を示すことが、信頼につながります。

④ 提供内容(Offer)が具体的に書かれているか

「丁寧に診療します」だけでは、患者さんは受診後を想像しにくいものです。

例えば、

  • 初診は◯分程度お時間を確保している
  • 検査結果は図で説明している
  • 生活背景も含めて相談できる

など、受診後の流れが想像できる具体性があるか。

抽象的な理念だけでは、行動にはつながりにくいことがあります。

⑤ 行動導線(Response)が明確か

「ご予約はこちら」「WEB予約はこちら」など、迷わせない導線があるか。

当たり前のようですが、迷わせない導線は患者さんへの配慮でもあります。

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これは“集患テクニック”ではない

PASTORは、売り込むための型ではありません。

患者さんの思考順に合わせる設計です。

今回の診療報酬改定でも「役割の明確化」が強調されています。

誰の、どんな困りごとに向き合うのか。

ホームページは、その立ち位置を伝える場でもあります。

制作会社に依頼する前に、整理しておきたいこと

これから開業する先生や、HPをリニューアル予定の先生ほど重要です。

制作会社に依頼すれば、デザインは整います。構造も形になります。

しかし、「誰のProblemに向き合うのか」が曖昧なままだと、何度も修正が発生します。

技術の問題ではなく、前提の問題だからです。

もし、うまく伝わっていないと感じているなら

情報量の問題ではなく、設計順の問題かもしれません。

診療内容を増やす前に、

  • 誰に来てほしいのか
  • どんな状態の人に届けたいのか
  • 受診前にどんな不安を抱えているのか

を一度整理してみてください。

ホームページは「情報」ではなく、クリニックの立ち位置を伝える装置です。

最後に

まずは、自院のトップページを開いて、最初の一文が「P」から始まっているかを確認してみてください。

もし言葉に詰まるようであれば、その前提を一緒に整理するお手伝いができます。

開業・経営整理セッションでは、こうした“設計の前提”を言語化する時間を設けています。

制作や修正に進む前に、いったん立ち止まるという選択肢もあるかもしれません。

関連:開業・経営整理セッション
https://www.maeyamadajun-shoten.com/cont6/18.html

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